ボーイング、737MAX過失を初めて認める CEOが議会証言で謝罪
米ボーイングのミューレンバーグCEO(手前中央)は29日、「737MAX」の墜落事故を巡る上院商業科学運輸委員会の公聴会で証言し、同社が「過ちを犯した」との認識を示した。写真はCEOの後方で事故犠牲者の写真を掲げる遺族たち(2019年 ロイター/SARAH SILBIGER)
米航空機大手ボーイングのミューレンバーグ最高経営責任者(CEO)は29日、「737MAX」の墜落事故を巡る上院商業科学運輸委員会の公聴会で証言し、同社が「過ちを犯した」との認識を示し、事故から多くを学び改善に努めていると語った。
ボーイング幹部による証言は2件の墜落事故後初めて。また、ボーイングに過失があったことを幅広く認めるのも今回が初めてとなる。
ミューレンバーグCEOは、計346人が死亡した2件の墜落事故につながったとされる機体の失速を防ぐためのシステム「MCAS」について、パイロットに十分な情報を提供していなかったことや、システムに懸念を示す社内通信の存在が明らかになったにもかかわらず、米連邦航空局(FAA)に数カ月間報告を怠っていたことを認めた。失速防止システムのソフトウエア改修や安全管理や透明性の向上に向けた社内および取締役会の変更についても説明した。
ボーイングのテストパイロットが2016年時点でMCASの問題を認識していた可能性が社内のやり取りから今月明らかになり、ボーイングがFAAを欺いていた可能性が指摘されている。[nL3N2734F3]
ミューレンバーグCEOはFAAに対する報告の遅れを謝罪。「今後全面的に協力していく」とし、追加文書を今後提出する可能性があると述べた。
さらに、旧型機に搭載されていた安全装置を737MAX機ではオプション機能としていたことをFAAに1年強報告していなかったことについても「過失だった」とし、MCASの追加情報をパイロットに提供する必要があったと認識していると語った。
墜落事故と同様のシナリオに基づくMCASの試験を実施しなかったのは誤りだったかという議員の質問に対し、公聴会に同席したボーイング商用機部門のチーフエンジニア、ジョン・ハミルトン氏は「結果論で言えば、誤りだった」と回答。しかし、ミューレンバーグ、ハミルトン両氏ともに、同システムの認可取得にエンジニアやパイロットが広範な試験を実施したとも強調した。
ミューレンバーグCEOは1件目のライオンエアの墜落事故後になぜ737MAXを運航停止にしなかったのかとの質問には、「過去に戻れるなら、違った決断を下すだろう」と語った。
証言に先立ち、ミューレンバーグCEOは辞任するのかとの質問に「私が焦点を置いている問題ではない」と回答。737MAX機の運航再開後、辞任について自身や取締役会が検討するかとの質問にも応じなかった。