宇宙人ハンター数万人襲来? 人口50人のUFO伝説の町に緊張走る
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ネバダ州の砂漠地帯にある小さな町レイチェルで、宇宙人をテーマにしたモーテルを共同所有するコニー・ウェストさんは、何があろうが彼らはやって来ると信じている。ネバダ州レイチェルの土産物店で16日撮影(2019年 ロイター/Rollo Ross)
ネバダ州の砂漠地帯にある小さな町レイチェルで、宇宙人をテーマにしたモーテルを共同所有するコニー・ウェストさんは、何があろうが彼らはやって来ると信じている。宇宙人ではなく、宇宙人ハンターたちだ。
この町に近い米軍基地「エリア51」に9月20日に集結して「乗りこめ」、と、UFO(未確認飛行物体)愛好家に呼び掛ける奇妙な招待状がフェイスブックに投稿されたのだ。
エリア51は長い間、宇宙人と宇宙船を収容しているとの噂の舞台となった場所だ。200万人を超える人がフェイスブックで「行く」と表明した。
ラスベガスから240キロメートルほど離れたレイチェルの町の約50人の住民は、この企画にどう対応すべきかで意見が割れている。
ガソリンスタンドも食料雑貨店もない町に群集が押し寄せれば大変なことになるとして、訪問しないよう厳しく呼びかける者もいれば、「エイリアンストック」と称する音楽祭で訪問者をもてなすのが一番、と考えるウェストさんのような人もいる。
ウェストさんはインタビューで「どう考えてもマイナスなことを、どうすればプラスに転換できるか頭をひねってる。抵抗するのは自由だけど、来るものは来るからね」と語った。
ウェストさんは、町でたった一つの商売であるモーテル兼レストランを母親と共同経営している。
フェイスブックに招待状が投稿されるやいなや、電話での問い合わせが殺到。9月20日には少なくとも3万人が来訪すると見積もったウェストさんは、十分な数の簡易トイレを注文しようと奔走し、8月中旬時点で30台を確保した。
エリア51は何十年も秘密のベールに覆われ、ニューメキシコ州ロズウェルで墜落した宇宙船の残骸と宇宙人の死体を収容しているとの陰謀説を呼んだ。
米政府は2013年まで同基地の存在を認めていなかったが、13年に公表した米中央情報局(CIA)の資料により、同基地が最高機密偵察機の試験に使われていることが判明した。
CIAの資料は小さな緑色の宇宙人や空飛ぶ円盤には全く言及していないが、憶測は消え去なかった。
レイチェルと周辺地域は長い間、UFO伝説の観光客誘致効果を歓迎してきた。この地域を貫く158キロの道路は「宇宙人ハイウェイ」と称され、UFO観測の名所となっている。
だがカリフォルニア州ベイカーズフィールド在住のマッティ・ロバーツと名乗る人物がフェイスブック上で、大挙してエリア51に突入し、「宇宙人を目撃しよう」と呼び掛けると、米空軍は警告を出した。
空軍はこの企画に関する質問に対し、声明で「軍の施設や訓練地域に不法に侵入しようとするのは危険だ」と指摘。
空軍は、この施設は戦闘機の試験と隊員の訓練用に使われていると説明している。施設の入り口には監視カメラがいくつも設置され、不法侵入を禁止する警告が掲示されている。