最新記事

香港

香港当局、「雨傘運動」指導者ジョシュア・ウォンら続々逮捕 デモ主催団体は31日の行進中止を発表

2019年8月30日(金)15時00分

香港の民主派による2014年の大規模デモ「雨傘運動」の学生リーダーだった黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏(写真右端)が、逮捕されたことが明らかになった。写真は香港で6月撮影(2019年 ロイター/Tyrone Siu)

香港の民主派による2014年の大規模デモ「雨傘運動」の学生リーダーだった黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏(22)が30日、違法な抗議集会を計画した疑いで逮捕された。香港では「逃亡犯条例」改正案を巡る抗議活動が続く中、当局は取り締まりを行っている。

他の著名な活動家、周庭(アグネス・チョウ)氏(22)と陳浩天(アンディ・チャン)氏も逮捕された。

黄氏は6月に法廷侮辱罪の5週間の刑期を終えて出所していた。現在続いている抗議デモでは目立った指導者はおらず、黄氏も中心的な人物ではない。

同氏が所属する政党「香港衆志(デモシスト)」はツイッター上で「同氏は突然、路上で民間の自動車の中に押し込まれた」と投稿。湾仔(ワンチャイ)地区の警察本部に連行されたとしている。

警察は、黄氏と周氏が「組織化されていない集会を計画」し、「無許可と認識しつつ集会に参加」した容疑で、30日に逮捕されたと明らかにした。

また警察は、昨年9月に活動禁止となった、香港独立を主張する政党「香港民族党」の創設者である陳氏について、29日に香港の国際空港で逮捕されたと発表。7月13日のデモで「暴動に参加」し「警察を攻撃」した疑いがあるという。

警察は、31日に計画されていた民主派によるデモ行進の許可を拒否しており、許可を求める主催者側の異議申し立ては30日に却下された。

過去の大規模デモを組織した「民間人権陣線」は、命令に従い、香港の中心商業地区から中国政府の出先機関までのデモ行進を中止すると発表した。

中国本土への犯罪容疑者の引き渡しを可能にする逃亡犯条例改正案に抗議するデモは6月半ばに激化。独立した司法制度など高度な自治を保障する「1国2制度」の下でより根本的な民主化を求める運動へと変貌してきた。

中国系の香港紙は今月、黄氏が香港の米総領事館員と接触する様子を撮った写真を報じており、これを受けて米中間で非難の応酬があった。米国務省のオルタガス報道官は総領事館員の写真や個人情報を流出させたとして中国政府を「暴力的な政権」と呼んで批判した。

デモが過激化した6月半ば以降、香港では900人近くが逮捕されている。

中国は29日、人民解放軍の香港駐留部隊の交代を行った。中国国営メディアは定期的な入れ替えと伝えており、香港に駐在するアジアや欧米諸国の外交官らも部隊交代を予想していた。

※内容を追加しました。

[香港 30日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版 独占取材カンボジア国際詐欺
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月29日号(4月22日発売)は「独占取材 カンボジア国際詐欺」特集。タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、対独戦勝80年で5月8-10日の停

ビジネス

独メルク、米バイオのスプリングワークス買収 39億

ワールド

直接交渉の意向はウクライナが示すべき、ロシア報道官

ワールド

トランプ氏へのヒスパニック系支持に陰り、経済や移民
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 7
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 8
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 7
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中