中国に特攻できる自爆ドローンなど、加速する台湾の武器開発
Taiwan's New 'Suicide' Drone Can Hit Chinese Mainland Coastal Defenses
中国人民解放軍の侵攻を想定した大規模軍事演習「漢光」(2019年5月)。緊急時には道路を滑走路代わりに使う Tyrone Siu-REUTERS
<中国の軍事的脅威が高まるなか、台湾は独自に最新兵器を開発、その一部を工業展で披露した。さらに、アメリカの兵器を大量購入しようとしている>
台湾は国内で開発した最新兵器として、中国沿海部に到達できる「特攻ドローン」の存在を明らかにした。「空飛ぶ剣」という意味の名前が付いたこのドローンは、台北世界貿易センターで8月15日~18日に開催された「台北航空宇宙産業防衛技術展2019」(TADTE)で初披露された。
設計者によれば、このドローンはレーダー信号を検出して追跡し、地上の基地やミサイル発射装置に突っ込み、爆発させる「特攻」攻撃を行う仕組みになっている。この展示会では、台湾で開発・製造されたその他80の軍事関連アイテムも紹介された。
台北航空宇宙産業防衛技術展2019(TADTE)の展示A short thread with photos I took at the 2019 Taiwan Aerospace & Defense Trade Expo (#TADTE) pic.twitter.com/KI9CHFZprg
— Guy Plopsky (@GuyPlopsky) August 16, 2019
中国による軍事的脅威の高まりは、この展示会の参加者全員が認識しているが、誰も口には出さない問題だ。共産主義の中国と民主主義の台湾の間の対立は、国共内戦で敗北した中華民国(国民党)の残党が49年に台湾に撤退して中華民国政府を打ち立てて以来、悪化の一途をたどっている。台湾は現在、アメリカと同盟関係にあり、アジアの経済国として成長している。
中国に対抗するために、台湾政府はアメリカに対してより多くの武器売却を要請している。米国務省は台湾の求めに応じ、100両を超えるエイブラムス戦車と地対空ミサイル「スティンガー」約250発、再利用可能なショルダーランチャーから発射できるミサイルなど総額22億ドルの武器供与を承認した。
また今月になってトランプ政権は、台湾へのF16戦闘機66機の売却を承認した。アメリカが台湾に戦闘機を売るのは27年ぶりだという。
中国は、台湾への武器売却に強く抗議しており、武器を製造する米企業に対して制裁を加えると警告している。
国防強化は今後も続く
アメリカの対台湾窓口機関である米国在台湾協会(AIT)のブレント・クリステンセン台北事務所所長はTADTE会場での演説で、この傾向は今後も続くと予想した。
「台湾によるこうした兵器開発への投資は評価に値するし、国防予算を年々引き上げ、自国を防衛するために必要な支出を十分に確保するという継続的な取り組みもすばらしい。そして国防関連費は、台湾が直面する脅威に比例して今後も増え続けると予想している」
展示会では台湾が開発した以下の兵器も紹介された。
装甲兵員輸送車「雲豹」装甲車M2
中高度、長距離監視ドローンの最新モデル「騰雲」
地対空ミサイル「天弓3型」
超音速対艦ミサイル「雄風3型」
台湾製の高度ジェット練習機の縮尺模型
(翻訳:栗原紀子)
※8月27日号(8月20日発売)は、「香港の出口」特集。終わりの見えないデモと警察の「暴力」――「中国軍介入」以外の結末はないのか。香港版天安門事件となる可能性から、武力鎮圧となったらその後に起こること、習近平直轄・武装警察部隊の正体まで。また、デモ隊は暴徒なのか英雄なのかを、デモ現場のルポから描きます。