最新記事

映画

輸出規制に揺れる韓国サムスン、半導体の映画を公開 白地に赤い幽霊の意味は?

2019年8月13日(火)20時20分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

日本の輸出規制で製造に影響が出るとも言われるサムスン電子のスマートフォン「Galaxy」 Dado Ruvic - REUTERS

<国民ひとり当たりの映画鑑賞本数が日本の3倍という「映画大国」韓国。日本の輸出規制で苦境に立つ企業にも、短編映画の支援など行っているが──>

韓国で映画の仕事にかかわっていると、企業と映画との結びつきの強さを実感する。また、それが必ずしも一般的な商業映画だけではなく、短編映画にも関心が向けられていることに驚き、羨ましくもある。

例えば韓国で化粧品業界トップ企業のアモーレパシフィックは、「ミジャンセン短編映画祭」を第1回から支援し続け今年で18年目になる。この映画祭は韓国の短編映画文化の発展に大きく貢献していることでも有名だ。

実際、「毎年ミジャンセン短編映画祭に応募される作品数と、韓国で今年制作された短編映画の作品数は同じだ」と言われるくらい短編映画監督らはこの映画祭に出品する確率が高く、製作者たちの間で広く浸透しているのである。今年は6月末から開催され、1184作品の応募作品の中から20:1の狭き門を通過し選ばれた59作品が上映された。また、上映館もただの公共ホールや小規模映画館などではなく、韓国シネコン映画館チェーン第1位であるCGVで行われている。

このように、アモーレパシフィックは映画祭を支援することによって、短編映画の製作者同士を切磋琢磨させて、短編映画自体の質を向上させている。さらに、それまで一般人にはなじみが薄かった短編映画を広く認知させるのに一役買っているのである。

その他にも、韓国の航空会社アシアナは「アシアナ国際短編映画祭」を2003年から開催している。こちらは韓国を代表するベテラン映画俳優アン・ソンギがフェスティバルディレクターを務め、コンペティション部門では賞金が出るのはもちろん、「In the Air Program」で選定された映画は、アシアナ航空の国際便および一部の国内線で機内上映されるという航空会社らしい特典もついている。もしかすると、海外出張中のプロデューサーの目に留まり長編商業映画デビューに繋がる......というのも夢ではないかもしれない。

ちなみに、今年の制定作品は2020年1月から6月までの半年間、アシアナ航空機で上映される予定だ。もしもアシアナ機に乗る機会があればぜひチェックしてみてほしい。未来の大監督の初期作品を観られるかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中