最新記事

支援

エプスタイン事件が飛び火した伊藤穣一MITメディアラボ所長の支援サイト立ち上がる

2019年8月30日(金)15時30分
坂和敏

伊藤穣一MITメディアラボ所長に錚々たるメンバーが支援の声をあげている REUTERS/Ruben Sprich

<疑惑の投資家に絡むスキャンダルが、MITメディアラボにも飛び火したが、窮地に立たされたメディアラボ所長伊藤穣一氏を支援を表明するサイトが立ち上がり、インターネット界の著名人が名をつられている>

近年ではNHK Eテレの「スーパープレゼンテーション」の番組司会者として日本でも全国的に知られるようになった伊藤穣一氏(MITメディアラボ所長)。世界的に「Joi」の愛称で知られるその伊藤氏が、未成年性的虐待の被告の大富豪が拘置所で怪死したというジェフリー・エプスタイン関連のスキャンダルに絡んで、MIT学内で窮地に立たされているが、そんな伊藤氏に対して先日(8月最終週)、「辞めないで("Please do not step aside")」と呼びかけるメッセージが書かれた支援表明のサイト「In Support of Joi Ito」が作られた。

MITメディアラボとの関わりは、大きな問題ではない

このジェフリー・エプスタインの一件については当媒体でも冷泉彰彦氏の解説コラム「未成年性的虐待の被告の大富豪が拘置所で怪死、米メディアが大騒ぎする理由」に詳しいが、この一件に関しては、英国王室のアンドリュー王子やドナルド・トランプ、それにビル・クリントンといった社会的影響力をもつ人間とエプスタインと交際のほうが欧米での関心が高く、それら比べるとMIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボの一件はさして大きなものではない。

ただ、一部で既報の通り、「10代の時にエプスタイン被告の自宅でメディアラボの共同創設者マービン・ミンスキー(「人工知能の父」とも呼ばれる)氏とのセックスを強要された」とする被害者の具体的な証言がある点で、MITとのつながりはほかの状況証拠だけのつながりとは異なるようにも感じられる。

支援サイトに錚々たる面々が支援を表明

今回作られた伊藤穰一氏の支援サイトに並んでいる支持表明の署名者(本原稿作成時点で203人)の顔ぶれがとても興味深い。

・スチュアート・ブランド(Stewart Brand、「ホール・アース・カタログ」発行人・編集者、WELL共同創設者ほか)
・ルイス・ロゼット(Louis Rossetto、WIRED創刊編集長)
・ローレンス・レッシグ(Lawrence Lessig、ハーバード大法学部教授、クリエイティブ・コモンズ創設者)
・ジョン・シーリー・ブラウン(John Seely Brown、元ゼロックスPARCディレクター、「なぜITは社会を変えないのか」などの著者)
・ダニー・ヒリス(Danny Hillis、科学者、「一万年時計」プロジェクト公安者)
・ジョナサン・ジットレイン(Jonathan Zittrain、「クルートレイン・マニフェスト」共同起草者)
・デビッド・ワインバーガー(David Weinberger、「クルートレイン・マニフェスト」共同起草者)
・セス・ゴーディン(Seth Godin、「パーミッション・マーケティング」提唱者)
・ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel、音楽アーティスト)
・ニコラス・ネグロポンテ(Nicholas Negroponte、MITメディアラボ創設者・初代所長)
・石井裕(Hiroshi Ishii、MITメディアラボ副所長)
...など。

30年ほど前のインターネット黎明期から重要な活動を続けてきた人々が勢ぞろいしていて壮観だ。これまでインターネット界に伊藤穰一氏がどれほど貢献してきたかをうかがわせる支援メンバーだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中