G7、米イラン対話に向け前進するも包括的合意は果たせず終了
仏ビアリッツで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)が26日閉幕した。会議ではイラン問題を巡り米イラン首脳会談の実現に向け道が開かれるなど一定の前進が見られたものの、それ以外の議題を巡っては各国の意見の隔たりが大きく、具体的な成果は得られなかった(2019年 ロイター/Ian Langsdon)
仏ビアリッツで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)が26日、閉幕した。会議ではイラン問題を巡り米イラン首脳会談の実現に向け道が開かれるなど一定の前進が見られたものの、それ以外の議題を巡っては各国の意見の隔たりが大きく、具体的な成果は得られなかった。
トランプ米大統領は、主要6カ国とイランが2015年に締結した核合意を巡る確執の解消に向け、条件が整えばイランのロウハニ大統領と会談すると表明。数週間以内の首脳会談開催は現実的という考えを示した。同時にイランに対する経済制裁を解除するつもりはないとも言明した。
トランプ氏は「良い感触はある。ロウハニ氏は会談し、状況を改善することを望んでいると考える。イランはかなりの苦痛を感じている」と述べた。
また、フランスが米国とイランの緊張緩和に向けイランのザリフ外相をG7開催地に招いたことについて、驚きはないと言及。ただ、同外相との会談には時期尚早だとして応じなかった。
こうした中、マクロン仏大統領は、トランプ氏とロウハニ氏の会談に向けて準備が進んでいると表明。「イランは決して核兵器を保有してはならず、当該状況が地域の安定性を脅かすことがあってはならないという2点が非常に重要となる。向こう数週間内にロウハニ氏とトランプ氏による首脳会談が実現するよう期待する」と述べた。
世界経済の下振れリスク巡り万全の対応
会議では米中貿易摩擦や北朝鮮の核問題、ロシアのG7復帰などについても話し合われたが、各国の意見が食い違ったため、包括的な文書の発表は見送られた。代わりに議長国のフランスは貿易やイラン、リビア、ウクライナ、香港問題を盛り込んだ1ページのみの声明を発表した。
安倍晋三首相は閉幕後の記者会見で、世界経済の不透明感が強まっていることについて「下振れリスクに対してはG7が協調して世界経済を支えていくため、機動的かつ万全の政策対応を行っていく必要性について認識が一致した」と明らかにした。
米中貿易摩擦に関しては、両国が安定的な関係を構築することは世界経済にとって極めて重要との認識を示した上で、米中協議について「世界経済が安定する方向でいい成果が出てくることを期待したい」と語った。