マネーの主役は貨幣から人間へ──「マネー3.0」の時代
How to (Re) Make Money
しかしブレトンウッズ会議から75年がたった今、私たちは新しい通貨の時代に突入しつつある。インターネットやブロックチェーンといった新しい技術により、デジタル資産つまり仮想通貨を「印刷」して流通させる新しいグローバルなスケールの方法が登場したのだ。
これらの仮想通貨は、ブロックチェーンという書き換え不可能な記録をベースにすることで、その正当性を幅広く証明することができる。つまり、あらゆる通貨が必要とする信用のネットワークを構築するパワーを持っている。
これがマネー3.0だ。それは人々がお金を生み出す時代だ。
人々って誰かって? それはビットコインやイーサリアムを作った人々。フェイスブックを作り、来年にはリブラという独自の仮想通貨を作ろうとしている人々。現在取引されている無数の仮想通貨を作った人々だ。
こうした仮想通貨の多くは、商品やサービスと引き換えに、他人に譲り渡すことができるという意味で、カネのように機能する。そしてこれらの通貨は今、オープンソースで作られ、グローバルに流通している。これまではあり得なかったことだ。
カネが人間に奉仕する時
確かに、こうした通貨の多くは信用のネットワーク効果を生み出すことができず、いずれ消えていくだろう。だが、いくつかは生き残る。それはフェイスブックと競合する通貨かもしれないし、都市が発行する通貨かもしれない。あなたが知っている人や、ソーシャルメディアでフォローする人が作る通貨かもしれない。結局のところ、カネは人と人との信用システムだ。
デジタルネットワークの進歩によって、私たちはこれまで以上に、お互いを結び付けるコミュニケーションを作り、監視し、アップグレードできるようになった。それは知らない人や、国家による価値の裏付けのない通貨を信用することを可能にする。
新しい通貨は、ソフトウエアのようにプログラム可能であり、さまざまな目的に合わせて設計することができる。例えば、取引のたびに税金を支払ったり、買い物をするたびに代金の一部を環境保護活動に募金したりする仕組みを作ることができる。