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SNSフェイスブック個人データ流出で、空前の罰金50億ドルは高いか安いか
フェイスブックは個人データに関して同様の問題を繰り返してきた STEPHEN LAMーREUTERS
<年間売上高が550億ドルを超える企業規模を考えると、途方もない金額とまでは言えない>
フェイスブックの利用者8700万人の個人データが選挙コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカに不正流出していたことが発覚したのは、昨年3月のこと。同社は、16年の米大統領選でトランプ陣営に協力していたとされている。
スキャンダル発覚から16カ月。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、米連邦取引委員会(FTC)は、この問題でフェイスブックに50億ドルの制裁金を科す和解案を決議した。
50億ドルは、FTCがテクノロジー企業に科した制裁金としては過去最大だ。12年にグーグルが科された2250万ドルを大きく上回る。もっとも、フェイスブックの企業規模を考えると途方もない金額とまでは言えない。何しろ、同社の18年の売上高は550億ドルを超えている。
それに、18年にはグーグルも独占禁止法違反を理由にEUから50億ドル相当の制裁金を科されている。莫大な制裁金の支払いは、巨大テクノロジー企業にとってビジネスの必要経費になりつつあるのかもしれない。
フェイスブックは12年、ユーザーの明確な同意なしに個人データを他社に提供しないことなどをFTCに約束していた。今回のスキャンダルでは、同社がこの合意に違反していたことも疑われている。
フェイスブックやグーグルのような巨大テクノロジー企業への規制強化を求めている民主党は、今回の和解案に満足していない。「フェイスブックはプライバシーの漏洩を繰り返している。抜本的な改革が必要なことは明らかだ」と、マーク・ワーナー上院議員は声明文の中で主張している。「FTCが適切な規制を設けないなら、議会が行動するほかない」
現時点で和解案の詳細はまだ明らかになっておらず、何らかの規制強化が盛り込まれる可能性もある。派手な金額の制裁金と併せて厳しい規制が導入されれば、フェイスブックも行動を改めるかもしれない。
しかし、これまでフェイスブックが何度も同様の問題を起こしてきたことも事実。それを見る限り、ルールを破らずにビジネスを急成長させることが不得意なのは間違いなさそうだ。
©2019 The Slate Group
<本誌2019年7月23日号掲載>
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