日米首脳会談、トランプが貿易収支に言及 来月早々に事務レベル協議
安倍晋三首相(写真右)と米国のトランプ大統領(同左)は午前、20カ国・地域(G20)首脳会談(サミット)開催に先立ち、大阪市内で会談した。写真は大阪での代表撮影(2019年/ロイター)
安倍晋三首相と米国のトランプ大統領は28日午前、20カ国・地域(G20)首脳会談(サミット)開催に先立ち、大阪市内で会談した。政府関係者によると、日米間の貿易収支についてトランプ大統領が言及。
また、両首脳は日米安全保障条約と日米同盟の重要性を確認した。同日午後に行われた茂木敏充経済再生担当相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との会談では、来月早々にも貿易交渉で事務レベル協議を行うことで一致した。
トランプ氏が貿易収支に言及、安倍首相は日系企業の投資を説明
首脳会談の内容を説明した西村康稔官房副長官によると、日米間の貿易収支についてトランプ大統領が言及。貿易収支の現状について「率直に意見交換した」という。外交上の用語として「率直な意見交換」は、厳しいやり取りを含む交渉を表現する際に使用されることが多く、トランプ大統領が対日赤字の削減に対し、強い姿勢で臨んだ可能性がある。
実際、西村副長官は、トランプ大統領が農産品の輸出拡大に関心があることについて、日本側は理解していると説明しており、米国から農産品の輸出拡大で要求があったことをうかがわせた。
トランプ大統領による貿易収支の議論は日本による自動車の対米輸出か米国の農産品の対日輸出かとの質問に対して、西村氏は「詳細は控えるが安倍首相は(日系自動車メーカーの)対米投資の話をした」と説明しており、自動車でも議論が出た可能性がある。
安倍首相は、この3カ月間で日本企業が16件の対米投資を決めたと説明。日本企業が米国内で244億ドルを投資し、4万7000人の雇用創出に貢献したと述べ、米側の理解を求めたという。
日米通商交渉を巡っては、5月の来日時にトランプ大統領が8月中の決着に言及した経緯があるが、この日の会談で、早期合意を目指すことで一致したが、交渉決着のメドなどについて「時間軸の議論はなかった」(西村官房副長官)との説明があった。