最新記事

日米関係

日米首脳会談、トランプが貿易収支に言及 来月早々に事務レベル協議

2019年6月28日(金)15時00分

同盟深化拡大を議論とホワイトハウス発表

日米首脳会談に関連し、西村副長官は「安保、貿易それぞれ議論したが、それらを関連づける話はなかった」と述べるとともに、防衛装備品や為替をめぐる議論もなかったと説明した。

一方、トランプ大統領が訪日直前、日米安全保障条約の片務性に不満を表明したと報道され注目された日米安保体制については「地域・グローバルな安保面の課題について議論したが、日米安保を変更する話は一切なかった」(西村副長官)という。

米ホワイトハウスは日米首脳会談後の声明で「両首脳が日米同盟に基づく世界規模での協力を深化させ拡大させていく意向を確認した」と発表した。拡大・深化の内容について西村氏は「宇宙やサイバー空間、様々な地域の課題に対処するうえで日米同盟でしっかり連携していくという意味。何か特段、今の安保を変更する話ではない」と説明した。

対北朝鮮外交では、最新情勢を踏まえ、日米間でのすり合わせを行った。拉致問題では、トランプ大統領が早期解決へ全面的な支持を改めて示したという。

27日の日中首脳会談を踏まえ、米中関係についても日米首脳間で意見交換が行われ、安倍首相のイラン訪問の結果なども踏まえ、イランを含めた中東地域の情勢についても議論された。

首脳会談の冒頭部分は、報道陣に公開された。安倍首相は、3カ月連続の首脳会談が強固な日米同盟の証であると強調。G20サミットにおいて世界経済の成長に向け力強いメッセージを発するために、米国の協力を要請した。

これに対してトランプ大統領は、令和初の国賓訪問は光栄としたうえで、ミシガン、オハイオ州などでの日系自動車企業について謝意を表明。今回の会談では、貿易や軍事、防衛装備品を議論したいと強調した。

日米首脳会談に続き、インドのモディ首相も加わって開かれた日米印首脳会談が行われた。中国の進出を意識した自由なインド・太平洋地域をテーマに、宇宙、安保、質の高いインフラなどについて、率直な意見交換が行われた。

通商交渉、7月早々に複数グループの実務者協議

首脳会談に同席した茂木経済再生相は28日午後、ライトハイザー米通商代表と日米通商交渉の閣僚級協議を行った。茂木再生相によると、詰めるべき論点が絞り込まれてきており、「早期合意のため、事務レベル協議を来月早々、複数のグループに分かれて行うことで一致した」という。

茂木再生相は「トランプ大統領が貿易収支について強く議論した印象はない」とコメントした。

*情報をまとめ再構成しました。

(竹本能文 編集:田巻一彦、石田仁志)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプショック
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月22日号(4月15日発売)は「トランプショック」特集。関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、イラン核施設への限定的攻撃をなお検討=

ワールド

米最高裁、ベネズエラ移民の強制送還に一時停止を命令

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 7
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 8
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 9
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 10
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中