韓国は米中の板挟みに ファーウェイ排除で韓国経済は大打撃
正念場
韓国の政府当局者やIT企業幹部は、長期的に心配の種は無数にあるという。
中国は、韓国にとって2018年輸出の26.8%を占める最大の貿易相手国だ。対する米国向け輸出は12%にとどまった。
ファーウェイ1社だけで107億ドル(約1兆1700億円)相当の韓国製品を昨年購入しており、中国に輸出される韓国製IT部品の17%を占めていたことが、韓国政府とファーウェイのデータから明らかになった。
世界2位の半導体メモリーメーカーである韓国SKハイニックスの最大顧客もファーウェイだ。
テクノロジー貿易戦争が激化する中で、韓国は米中2大国の間でバランスを取ることは難しいと指摘する専門家もいる。
「韓国は、米国か中国かを選ぶ正念場を迎えている」。延世大の中国学教授で、上海総領事も務めた経験のある韓碩熙(ハン・スッキ)氏は、こう指摘する。
「もし米国が、ファーウェイ製品の使用中止だけでなく、韓国製半導体を中国に輸出しないよう要請してきたらどうするのか。政府は、この最悪シナリオに備えなければならない」
米政府は同盟国に対し、5G通信網導入にあたってファーウェイ技術を採用すれば、機密情報の共有を控える可能性を警告している。
韓国大統領府は、米国との協議内容についてはコメントできないとしている。
事情に詳しい韓国政府筋は、簡単な解決策はないと話す。
ファーウェイ封じに参加するかとの質問に対し、「すまないが、われわれは米国ではなく、米国が中国にしていることを、そのままやるわけにはいかない」と同政府筋は話す。「結論を急ぐ訳にはいかない」
韓国の通信事業者で唯一、ファーウェイの5G技術を採用しているLGユープラスは、コメントの求めに応じなかった。
ファーウェイ側は、韓国との協力関係へのコミットメントとして、30日に韓国に5G研究所をオープンした。
「ファーウェイは、『韓国で、韓国の進歩のために』という理念を掲げている」。ファーウェイのアジア太平洋地区責任者の田峰氏が、前述したイベントでそう述べていた、とその場にいた韓国政府当局者は語る。