メイ英首相「辞任」宣言で、強硬離脱の懸念が高まっている理由
だからと言って労働党が図に乗れるわけではない。最新調査によれば、ブレグジットに対する労働党の立ち位置が明確だと答えた人はたったの13%。コービンはブレグジットの議論を超えて経済、社会政策で保守党と対峙したいと考えているようだが、実際問題ブレグジット危機は一向に収まらない。このため労働党の票は、離脱支持か残留支持かを明確にしている政党に容赦なく流れ続けている。
先行き不透明な情勢で新たに鍵を握る人物が、強硬離脱派のジョンソン前外相だ。メイの後任争いが本格始動するなか、ジョンソンは5月16日に「もちろん出馬する」と宣言した。
ジョンソンは合意なき離脱もいとわないとの考えで、強硬離脱がイギリス経済を破壊するとの警告は「誇張だ」とあしらっている。もしもジョンソン、あるいは他の強硬離脱派が首相に就けば、こうした警告が正しかったかどうか、現実に目にする可能性はぐっと高まるだろう。
©2019 The Slate Group
<2019年5月28日号掲載>
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