最新記事

イラン

イランも臨戦態勢に──戦争を避ける最後のチャンス

Iran Military Leader Says, ‘This is the Most Decisive Moment for the Islamic Revolution’

2019年5月17日(金)18時15分
トム・オコナー

2015年に締結されたイラン核合意は、イランの核開発を制限する見返りとして経済制裁を解除するもので、アメリカとイランの他、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国も参加している。

トランプ政権は、この核合意は中東のイスラム武装組織への支援や弾道ミサイル開発に資金を注ぎ込むことをイランに許すものだと非難している。アメリカが核合意から離脱した昨年5月以降は、原油を筆頭にイランからの禁輸措置は強化された。一方イランは、アメリカの制裁への対抗先としてホルムズ海峡を封鎖するとほのめかしている。

イランは、軍事衝突があるとすればアメリカのせいだと主張している。イランはアメリカが「対立を煽るフェイク諜報活動」を行っているという。アメリカは2003年、イラクに侵攻したときにも、「イラクには大量破壊兵器がある」というフェイク情報を口実にした。

事実、イランが弾道ミサイルの配備を進めているとした情報は、イランと敵対するイスラエルからアメリカに提供された衛星写真に基づくものだと、ある国防総省関係者は本誌に明かした。さらに今週14日には、ボルトンに命じられたパトリック・シャナハン米国防長官代行が、イランに対する攻撃・報復作戦を立案していたことも明らかになった。

だが今のところは両国とも、戦争は望まないと意思表示している。イランの最高指導者ハメネイ師は今月14日、「今回のにらみ合いは、軍事的なものではない。戦争になることはないからだ。イランも(アメリカも)戦争を望んでいない」と語った。

トランプも翌日、アメリカがイランとの軍事衝突に向かう可能性があるかどうか記者団から尋ねられ、「そうならないことを望んでいる」と発言した。戦争を回避するなら今のうちだ。

20190521cover-200.jpg
※5月21日号(5月14日発売)は「米中衝突の核心企業:ファーウェイの正体」特集。軍出身者が作り上げた世界最強の5G通信企業ファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)。アメリカが支配する情報網は中国に乗っ取られるのか。各国が5Gで「中国製造」を拒否できない本当の理由とは――。米中貿易戦争の分析と合わせてお読みください。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

10月全国消費者物価(除く生鮮)は前年比+2.3%

ワールド

ノルウェーGDP、第3四半期は前期比+0.5% 予

ビジネス

日産、タイ従業員1000人を削減・配置転換 生産集

ビジネス

ビットコインが10万ドルに迫る、トランプ次期米政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中