NYの新興大麻ビジネス、アメリカ特有の連邦法と州法の違いで大混乱
ニューヨーク市保健局は、FDAルールを深刻に受け止めた。
ファットキャット・キッチンでは2月、市の保健査察担当者がCBDの粉や蜂蜜、菓子やクッキー生地を差し押さえ、オーナーのホルム氏を驚かせた。市内にある他の4つの店でも、同様の光景が繰り広げられた。
それから間もなく、ホルム氏や他のレストラン経営者は、市当局から7月1日以降、保健担当者が押収を再開するとの手紙を受け取った。
州当局の合法判断にもかかわらず、市の保健当局がカフェやレストランにサプリメントとしてのCBD入り食品販売を認めるかは不明だ。
市当局の広報担当者は、CBD入り食品・飲料の販売を禁止するFDA方針を踏襲するとの立場を繰り返した。FDAの広報担当者は、ニューヨークにおける規制についてコメントしなかった。
コロラドやメーンなどの州では、CBDの食品添加を認める法律を成立させることで、こうした食品の位置づけを明確にしようと試みている。
FDAは、医薬品として登録したCBDを規制の例外扱いとすることで、食品添加物や食品サプリメントしても認める可能性に言及しており、5月末にメリーランド州で公開ヒヤリングを行う予定だ。
こうした相反する規制と場当たり的な取り締まりを受け、ホルム氏などのCBD取り扱い業者は、少なくとも法を順守する姿勢を示しつつ、販売を続ける方策を編み出している。
ニューヨークのスタテン島で蜂蜜にCBDを混ぜた製品を手掛けるイゴール・ヤコブレフ氏は、瓶のラベルにFDAからの「評価や承認」を受けていないとする注意書きを加えた。
ホルム氏は弁護士と相談の上、FDAが禁止しているのはCBD添加食品を「複数の州をまたいで取引」することだとの解釈から、ニューヨーク州内で生産・製造されたものである限り、CBD抽出物入りコーヒーを販売しても差し支えない、との立場を取っている。
「弁護士3人に相談すれば3通りの答えが返ってくるので、紛らわしい」──。そう語るのは、ニューヨーク州で大麻生産者や加工業者の業界団体を設立したコートランドの農業経営者アラン・ガンデルマン氏だ。「だから、政府がちゃんとした対応を取るまでは、消費者が本当に求めている製品づくりにまい進し、突き進むのみだ」
(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
[ニューヨーク ロイター]
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