絵文字や自撮りのメッセージで結束狙う欧州極右勢力、分断に終止符か
イタリアのサルビーニ副首相(右)は、フランス極右政党のリーダーであるマリーヌ・ルペン氏(中央)に絵文字入りのテキストメッセージを送ったり、オーストリアの極右政治家ハインツクリスティアン・シュトラッヘ氏(左)と撮ったセルフィー(自撮り)画像を投稿したりしている。ミラノで2016年1月撮影(2019年 ロイター/Alessandro Garofalo)
イタリアのサルビーニ副首相は、フランス極右政党のリーダーであるマリーヌ・ルペン氏に絵文字入りのテキストメッセージを送ったり、オーストリアの極右政治家ハインツクリスティアン・シュトラッヘ氏と撮ったセルフィー(自撮り)画像を投稿したりしている。
イタリアの極右政党「同盟」の党首であるサルビーニ氏は、プラハからソフィアに至るまで、欧州各国の右派集会に設置された大型スクリーンから笑顔を振りまいている。
欧州連合(EU)の立法府にあたる欧州議会選挙を5月26日に控え、自身の成功と有権者の主要政党離れに鼓舞されて、サルビーニ氏は欧州極右政党の連携を目指している。
欧州2大政治勢力が過半数を失うと予想される中、サルビーニ氏をはじめとする極右政党のリーダーたちが狙っているのは、欧州議会において法案の成立を阻止・停滞させるだけの議席を持つ野党、欧州懐疑派連合を形成することだ。
サルビーニ氏の外交顧問を務めるマルコ・ザンニ氏はロイターに対し、「われわれが考えているのは、団結することによって、われわれの共通点である欧州に対する懐疑主義をもっと反映するような新会派を結成することだ」と語った。「力を合わせるには、今はまたとないチャンスだ」
だが、サルビーニ氏がミラノで欧州議会選に向けた選挙運動を開始する際に代表を派遣するのは、欧州の極右政党の中でも比較的小規模な3党のみになりそうだ。ルペン氏は顔を出さない。ポーランドで政権を握る「法と正義」(PiS)のヤロスワフ・カチンスキ党首の代理も参加しないだろう。
サルビーニ氏は来月、はるかに規模の大きな集会を開くと宣言している。だがルペン氏その他の主要な極右・ナショナリズム政党のリーダーの不参加は、これらグループの連帯を長年にわたって邪魔してきた政策上の相違とライバル関係を物語っている。
極右政党のリーダーたちの間では、EUの「リベラル」路線を修正し、加盟国政府の権限を取り戻すというイデオロギー的な目標でおおむね一致している。だが、それ以外の分野では相違点がある。トランプ米大統領の首席戦略官を務めたスティーブ・バノン氏は、欧州のポピュリスト勢力の間の橋渡しを図ったものの、失敗に終わった。