最新記事
ウィキリークス

アサンジは死刑になるのか、ならないのか

Will Julian Assange Face The Death Penalty?

2019年4月12日(金)15時40分
シェイン・クラウチャー

裁判所へと移送される警察車両の中のアサンジ Hannah Mckay-REUTERS

<米司法省は機密情報の漏洩に関与した共謀罪で身柄の引き渡しを求めるが、イギリス側は「死刑」になる可能性があれば身柄は引き渡さないと言明>

内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者ジュリアン・アサンジが11日、7年間保護されていたロンドンの在英エクアドル大使館で英警察に逮捕された。米司法省は同日、米軍の機密情報の漏洩事件に関与した疑いでアサンジの訴追を発表した。アサンジ側は、アメリカに身柄を送られ、最悪の場合には死刑にされるのではないかと恐れている。

英警察は、エクアドル政府がアサンジの亡命許可を取り下げ、アメリカが身柄引き渡しを要請したことを受けて、エクアドル大使館内でアサンジを逮捕した。

しかし英ガーディアンによると、昨年12月にラジオインタビューに応じたエクアドルのレニン・モレノ大統領は、英政府がアサンジに対して、アメリカなど死刑になる可能性がある国には身柄を引き渡さないと約束する文書を渡していたことを明らかにしている。

さらにイギリスのアラン・ダンカン外務閣外相(欧州・アメリカ担当)は11日、もしアサンジが死刑になるならアメリカに身柄を引き渡すことはないと発言した。

「もしアサンジが死刑にされるのなら、イギリスは身柄を引き渡さない。これはイギリスの基本的な政策でアサンジにも同様に適用される」と、ダンカンは英メディアの取材に語っている。

逮捕前には健康診断を

ロンドン警視庁の声明によると、英警察はアメリカ当局の代理としてアサンジを逮捕し、「すみやかにウェストミンスター治安判事裁判所に身柄を移される」ことになる。

サジッド・ジェイビッド英内相は議会に対する声明で、アサンジの権利と「正当な利益」が保護される、と語った。またアサンジ逮捕はエクアドル大使の指示の下で国際法に準拠して執行され、逮捕前には健康診断を実施し、また今後もアサンジは医療施設の利用が可能だと説明している。

アサンジと弁護団は、まずイギリスの裁判所でアメリカに身柄を引き渡すかどうかの審理に臨む。ジェイビッドはツイートで「(アサンジは)イギリスの正義によって正しく判断される。法に勝るものは何もない」とコメントした。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏「和平構想に前向き」、復活祭停戦後の戦闘

ビジネス

トランプ氏、早期利下げ再要求 米経済減速の可能性と

ビジネス

関税の影響「控えめの公算」、FRBは状況注視=シカ

ワールド

ローマ教皇フランシスコ死去、88歳 初の中南米出身
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボランティアが、職員たちにもたらした「学び」
  • 2
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投稿した写真が「嫌な予感しかしない」と話題
  • 3
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 4
    遺物「青いコーラン」から未解明の文字を発見...ペー…
  • 5
    「アメリカ湾」の次は...中国が激怒、Googleの「西フ…
  • 6
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    なぜ? ケイティ・ペリーらの宇宙旅行に「でっち上…
  • 9
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 10
    ロシア軍、「大規模部隊による攻撃」に戦術転換...数…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 7
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 8
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中