中国で「黄帝祭典」盛大に行うもネット民は無反応――「令和」との違い
流暢な日本語を交えた「好看視頻」などは、画面上にある文字が繁体字であることから、台湾の動画を切り取って大陸のサイトに貼り付けたものだろう。いやに親日的だ。それを許すほど、「令和」に関してなら、けなそうと褒めようと、全く自由だということかもしれない。
4月4日付のコラム<「令和」に関して炎上する中国ネット>で触れた、4月1日と2日の間に炎上した「令和」の典拠に関する議論は、今ではすっかり落ち着いてしまって、「黄帝祭典」に対する冷たい反応と好対照を成している。
もっとも、4月5日か6日頃だったかに、次のようなやや長いコメントがあった。
――本歌取りと言っても、何もあそこまで類似形が明確な張衡の「帰田賦」から取ったものを採用する必要はなかったのではないか。それを以て「漢籍からではなく日本の国書を典拠とした」などと仰々しく区別して強調するから、漢民族としては黙っていられずナショナリズムを刺激してしまったのだ。そうでなかったら、日本は中国から伝来した文化を完全に消化して、まさに日本独自の文化を創りあげてきている。それを使うなら日本独自の典拠と言われても納得するが、令和が典拠とした万葉集のあの個所は漢詩そのものだ。どうせ「日本の国書」と強調したいのなら、なぜもっと工夫をしなかったのだろうか。安易だ。それこそ日本独自のものを見せてほしかった。
以上、中国のネットにおける「黄帝」事情と「令和」に関する現状をご紹介した。
ここから中国の新たな、別の側面を垣間見ることができれば幸いだ。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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