「日本越え」韓国経済の落とし穴
輸出の国別シェアでも、日本の存在感の低下が鮮明である。韓国の輸出に占める日本のシェアは2000年時点で11.9%だった。米国の21.8%、EUの14.3%に次ぐ規模であり、ASEAN主要6か国合計の11.5%や中国の10.7%を上回っていた。ところが、2018年に日本は6.1%へ半減、欧米もシェアを落としており、代わって中国が26.1%へ、ASEANが14.9%へシェアを伸ばしている。
このように、少なくとも販売先の依存度という観点で日本の地位はかなり低下し、一方で中国の存在が圧倒的となっている。しかも、経済水準で見れば日本は手の届くところまで接近している。こうした経済的な関係は、外交面において各国との距離感を決める需要な要素となることは言うまでもない。
韓国経済の解決されない課題とは
それでは、本当に韓国は経済水準で日本を抜き去り、シンガポールのような都市国家を除いて、アジアで最も経済的に豊かな国となるのかと言えば、そう簡単な話ではないだろう。確かに、足元で減速した韓国経済は、その主因である半導体分野の在庫調整が今年半ばにも終了、世界経済がAIやIoT、自動運転などITを牽引役として成長する中で、新しい通信サービス5Gの関連需要拡大も期待できるため、半導体需要の復調とともに遅くとも来年には回復が見込まれている。
しかし、中長期的な視点で見れば、韓国経済は依然としてサムスンやLG、現代、ロッテなどの大企業依存構造であり、産業の裾野を形成する中小企業が脆弱な状態は変わっていない。その原因の一つに中小企業の人材難があり、過度に大企業に偏重する新卒者の就職希望がある。全体の失業率が4%前後で推移する中で、財閥系大企業という狭き門に集中する若年層の失業率が10%に達していることが、その証左である。文在寅(ムン・ジェイン)政権は、「所得主導成長」という看板を掲げ、その柱に最低賃金の大幅引き上げを据えた。この政策は、中小企業と大企業の賃金格差を縮小し、中小企業の人材難という課題の解決に一役買う可能性を秘めていたのかもしれないが、現実はコスト上昇を嫌った中小企業の雇用削減や非正規労働者へのシフトにつながっている。