ピエール瀧とK-POPアイドルBIGBANG V.Iに見る芸能人スキャンダルの自粛問題
K-POPアイドルとして世界的に人気の高いBIGBANG。一連の事件で脱退したV.I(左)を除くメンバーは兵役についており活動休止中だ。Bobby Yip - REUTERS
<罪を犯した芸能人本人の謹慎は当然としても、その作品を回収したり公開停止するのは本当に必要なことなのか?>
3月13日、タレントで俳優のピエール瀧が麻薬取締法違反容疑で逮捕されたことを受け、所属レコード会社ソニーミュージックレーベルズは商品の出会停止と店頭在庫の回収、デジタル配信の停止を発表した。これに対し、ファンからの抗議や非難が殺到しているという。主な意見としては、「音楽作品に罪はない」「本人が更生して戻ってくることを信じている」というものが多いようだ。
今までにも芸能人の不祥事や麻薬違法問題は数多く取り上げられてきた。今回のピエール瀧容疑者と、2月に強制性交容疑で逮捕された俳優の新井浩文容疑者。今年に入って続いたこの二人の事件によって芸能人の不祥事と作品の自粛問題が浮き彫りになっている。奇しくも二人ともに出演作の多い人気俳優だったこともあり、逮捕後相次いで作品の自粛が始まった。しかし、この騒動には過剰反応だという非難の声もあがっている。
自粛で差し替えた映画にも問題が
一例をあげるとNHK BSプレミアムは、放送予定だったピエール瀧の出演作映画『ALWAYS 続・三丁目の夕日』『ALWAYS 三丁目の夕日'64』をインディージョーンズシリーズに差し替え放送をした。ところが、差し替えで放送された『インディ・ジョーンズ最後の聖戦』にはリバー・フェニックスが出演しているが、彼は1993年に薬物乱用で死亡している。自粛ムードが逆にあだとなってしまったようで、ネットでこの対応を揶揄する意見も出ていた。
一方では4月5日公開の映画『麻雀放浪記2020』(東映)は、ピエール瀧の出演部分をノーカットで上映することを決定した。発表後、配給の東映の株価が上がったという事実もある。関係者は過敏に自粛しようとしているが、一般世論は行き過ぎた自粛ムードにうんざりしているのかもしれない。
もちろん出演者が加害者だった場合、被害者の気持ちを考えなくてはならないが、観客は作り手が思っている以上に、役者本人と作品とは別物だと切り離して考えているようだ。過去に薬物乱用が問題となったミュージシャンや芸能人は多い。これまでの例をみても、見事更生し芸能界に戻ってきた人もたくさんいるし、かつてはここまで自粛ムードも厳しくなかったようにみえる。