最新記事

中国経済

一帯一路「5G+4K」フォーラムと中国の「5G+8K」分野別年度別市場規模

2019年4月24日(水)15時00分
遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)

三、スマート交通管理

四、工業製造

ハイテク国家戦略「中国製造2025」の完遂とサポート。中国が日本の参入を歓迎する領域と拒絶する領域がある。特にここは知財権や特許が、いつの間にか中国のものになっている危険性を孕んでいるので、日本の関連企業は慎重に動かなければならない。

五、広播電視

六、文教娯楽

遠隔教育に関しても、中国は国土が広いので90年代から世銀が入り込んで人材育成のサポートをしていた。娯楽は日本が入り込めそうな分野だが、中国政府が娯楽を戦略目的の一つとしているということは、そこには「イデオロギー」が潜んでいることに注意しなければならない。

このように中国にはもともと、「5G+4K・8K」産業が発展するニーズと素地ができ上がっていた。14億の人口と広大な国土に加え、「一帯一路」イニシアティブに対して習近平政権は野心を隠さない。

「5G+4K・8K」産業は、おそらく向こう数年の間に爆発的に発展するだろう。国家予算の注ぎ方の桁も違えば、白書に見られるように市場規模も桁違いに高まるであろうことが予想される。日本は8K技術に関してリードしているが、国家予算のスケールや市場規模から見て、中国ほどに普及しない可能性が高い。

となると、中国の発展性を求めて動きたくなるのが日本の関連企業だろう。

日本の半導体は沈んでしまったものの、レンズなどの未だに強い領域が健在だ。日本企業の活躍の場はまだありそうだが、しかしかつての半導体や新幹線のようにコア技術がいつの間にか他国のものにならないように用心しなければならない。心は逸るだろうが、日本企業には、どうか中国に、特に「一帯一路」には呑みこまれないようにしてほしいと切に望む。理由に関しては拙著『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』で詳細に考察した。


endo2025.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

この筆者の記事一覧はこちら≫

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

グリーンランドに「フリーダムシティ」構想、米ハイテ

ワールド

焦点:「化粧品と性玩具」の小包が連続爆発、欧州襲う

ワールド

米とウクライナ、鉱物資源アクセス巡り協議 打開困難

ビジネス

米国株式市場=反発、ダウ619ドル高 波乱続くとの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 2
    凍える夜、ひとりで女性の家に現れた犬...見えた「助けを求める目」とその結末
  • 3
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    米ステルス戦闘機とロシア軍用機2機が「超近接飛行」…
  • 7
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 8
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 9
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 10
    関税ショックは株だけじゃない、米国債の信用崩壊も…
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    凍える夜、ひとりで女性の家に現れた犬...見えた「助…
  • 9
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 10
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 3
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中