ボーイング737MAXはなぜ墜落したのか? エチオピア政府報告書を検証
エチオピア政府は、アディスアベバ近郊で先月起きたエチオピア航空のボーイング737MAX8型機の墜落事故に関する暫定報告書を発表し、事故機の操縦士が、機体が急降下して墜落する直前までボーイングが定めたマニュアル通りに操縦していたと強調した。3月12日、アディスアベバのルイラク事故現場を調べる米当局の調査員ら(2019年 ロイター/Baz Ratner)
エチオピア政府は、アディスアベバ近郊で先月起きたエチオピア航空のボーイング737MAX8型機の墜落事故に関する暫定報告書を発表し、事故機の操縦士が、機体が急降下して墜落する直前までボーイング が定めたマニュアル通りに操縦していたと強調した。
一方のボーイングは、同型機に搭載されているソフトウエアを修正したことで「安全な飛行機がより安全になった」と宣言している。乗組員側の問題なのか、はたまたテクノロジーの問題か、相次ぐ墜落事故の原因を巡る論争は長期化しそうだ。
昨年10月に発生したインドネシアのライオン航空機墜落事故を受け、ボーイングと米連邦航空局(FAA)は各航空会社に対し、センサーの誤ったデータによって自動失速防止システムが作動し、機首が押し下げられた場合に操縦士が取るべき対応を伝えていた。
エチオピア航空機の操縦士も、最初はその指示に従って失速防止システム「MCAS」を解除したものの、その後、最大巡航速度を上回る速度での飛行中に、マニュアルに反して再びMCASを作動させていたことが、暫定報告書のデータや専門家の話で明らかになった。
●適切な対応とは
もしMCASが誤った状況で作動して機首を押し下げた場合、操縦士は操縦席の中央コンソールにある解除スイッチを2つ押し、電動トリムに流れる電気を止めることになっている。
通常トリムは航空機の姿勢を安定させるために使われるが、MCASでは自動的に機首を押し下げる。
暫定報告書によると、事故機の操縦士がMCASを解除するためにこの遮断スイッチを押した時、機体はニュートラルな体勢ではなく機首が下がった状態だったことが飛行データから分かった。
この体勢では操縦は困難であり、そのため操縦士がMCASを再び作動させた可能性があるという。
ボーイングのガイドラインは、機首を適切な位置にするために解除スイッチを押してめったに行わない手動操縦に切り替える前に、「必要に応じて操縦かんと電動トリムを使い、ピッチ(機首の上下)姿勢をコントロールする」よう操縦士に指示している。適切なトリムの設定については具体的な指示はない。