最新記事

医療

性転換外科医が患者の性器写真を綿々とインスタに投稿していた

Sex-Change Surgeon Shared Patients' Photos to Instagram

2019年3月14日(木)14時38分
クリスティナ・チャオ

患者の最も無防備で弱いところに付け込むプレデターが野放しに nimon_t/iStock.

<常軌を逸した投稿に、トランスジェンダーの人々から非難が殺到。だが、病院を去っただけで医師免許はまだ有効だ>

米フロリダ州にあるマイアミ大学健康システム学科の外科医が、性転換手術を受けた患者の生殖器などを写した画像を個人のインスタグラムに投稿し、クビになった。

米外科学会(ACS)による処分を求めて最初に立ち上がったのは、トランスジェンダーとその支持者。外科医のクリストファー・ジョン・サルガドは性転換手術の途中経過や切り取った性器の写真などをインスタグラム(@sexsurgeon)でシェアしていた。性転換手術だけでなく、顔や脚など身体の一部が変形したり肥大化した患者の写真もシェアし、ときにはジョークを書き込んだりしていた。

サルガドは同大学のLGBT専門科(LGBTセンター・フォー・ウェルネス・ジェンダー・アンド・セクシャルヘルス)の責任者だった。

「トランスジェンダーが性転換手術の際、どれほど無防備で弱い立場に置かれると思っているのか」と、処分を求める請願書にはある。「暴力やネグレクト、ミスジェンダリング(本人の性自認と異なる性で呼ぶこと)、性的暴行などの脅威に始終さらされる。トランスジェンダー専門を名乗る外科医が、こんなホモフォビック(同性愛者に対する偏見を持つこと)なことをするなど、到底受け入れられない」

サルガドは、自分のインスタ・アカウントをすぐに削除したが、アーカイブされた写真の一部は閲覧可能になっている。たとえば、1月24日の投稿には、患者の直腸から摘出したという「大人のおもちゃ」と一緒にポーズを取る白衣姿のサルガドが写っている。

先月のバレンタインデーには、切断した患者のペニスをハート形に折り曲げて写真を撮り、「愛にはさまざまな形がある」とコメントしている。勃起機能を得るための陰茎インプラント手術を受けた患者を「障害者」呼ばわりしたりもしていた。

医師免許は?

大学の広報担当者であるリサ・ワーリーは3月13日、「(サルガドは)もはや大学と雇用関係にない」としたうえで、「性転換手術の患者のために継続的かつ一貫したケアを施す専門チームの配置は、今後も続けていく」

サルガドはその後行方不明だ。フロリダ州衛生局のホームページに掲載されている医師リストによれば、彼の医師免許は現在も有効だ。

(翻訳:河原里香)

※3月19日号(3月12日発売)は「ニューロフィードバック革命:脳を変える」特集。電気刺激を加えることで鬱(うつ)やADHDを治し、運動・学習能力を高める――。そんな「脳の訓練法」が実は存在する。暴力衝動の抑制や摂食障害の治療などにつながりそうな、最新のニューロ研究も紹介。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

インタビュー:インドネシアLNG開発事業に生産能力

ワールド

中国が台湾批判、「半導体産業を米国に売り渡し」

ビジネス

中国、大手国有銀などに4000億元注入へ=BBG

ビジネス

アングル:米国債利回り上昇にブレーキ、成長懸念や利
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:破壊王マスク
特集:破壊王マスク
2025年3月 4日号(2/26発売)

「政府効率化省」トップとして米政府機関に大ナタ。イーロン・マスクは救世主か、破壊神か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほうがいい」と断言する金融商品
  • 2
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 3
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映像...嬉しそうな姿に感動する人が続出
  • 4
    東京の男子高校生と地方の女子の間のとてつもない教…
  • 5
    「縛られて刃物で...」斬首されたキリスト教徒70人の…
  • 6
    日本人アーティストが大躍進...NYファッションショー…
  • 7
    見逃さないで...犬があなたを愛している「11のサイン…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    【クイズ】アメリカで2番目に「人口が多い」都市はど…
  • 10
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 5
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映…
  • 6
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほ…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中