ゴミ対策でレジ袋を有料化開始 インドネシア、なぜか環境省が慎重論
中国に次ぐプラゴミ排出大国インドネシアにとって、ゴミ削減対策は待ったなしの課題だ KOMPASTV / YouTube
<日本でも導入が予定されているレジ袋の有料化。環境問題への対策として世界的な潮流になっているが──>
海洋や河川などへの不法投棄で環境汚染や生物の生態系への影響が深刻化しているインドネシアで首都ジャカルタを中心にしたスーパーやコンビニなどの小売店で商品を入れるレジ袋の有料化が本格的に始まった。
中国についで世界で2番目にプラスチックゴミ(プラゴミ)の排出量が多いといわれるインドネシア。年間約322万トンのプラゴミが排出され、このうち約129万トンが海に流出あるいは投棄されているとの統計もある。
こうしたことからインドネシア政府、ジャカルタ州政府が本格的な対策として有料化を始めたものだが、環境森林省などはレジ袋の製造業界や小売店のビジネスに資するだけで、プラゴミ対策の根本的解決にはつながらないと「有料化」の問題点を指摘、慎重論を唱えている。
世界第4位の人口を抱えるインドネシアでは不法に投棄されるプラゴミが世界的な観光地であるバリ島の海を汚染する原因となっているほか、鯨などの海洋生物がプラゴミをエサと勘違いして食べて死亡するケースなどが報告され、世界的なプラゴミ対策の動きの中で対応が重要課題と指摘されてきた。
小売店はビニール袋を最低200RPで販売
インドネシア小売店協会は「政府が進めるプラスチックゴミの30%削減目標に協力するため、スーパーやコンビニのポリエチレンの袋(いわゆるレジ袋)を有料化する」ことを決め、3月1日から一斉に開始した。
スーパーの全国チェーンであるアルファマート、マタハリ・グループ、ランチマーケット、ラマヤーナ、スーパーインドなどの加盟社30社が一斉に最低1袋200ルピア(約1円15銭)の有料化に踏み切った。もっとも同様の有料化は2016年にも奨励されていたが、有料化が小売店の利益になるだけで削減への効果があまりないことから、継続する店舗と廃止する店舗に分かれるなど形骸化していた経緯があり、今回は業界全体での確実な取り組みを強調している。
ジャカルタの日系食料品スーパーの「パパイヤ」はすでに以前から200ルピアの袋代を上乗せしているほか、大手家電などを扱うAceハードウェア店などは大型で頑丈な袋のため「500〜1000ルピア(約3円50銭から7円)」での販売をしているという。
地元紙などによると、ジャカルタの州政府は近く知事令を出してレジ袋の製造会社に税金面での支援策を講じて生産量を抑制することなどを打ち出すことも検討している。