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平成に給料がほとんど上がらなかった5つの要因 平均上昇額はわずか7万円程度

2019年3月8日(金)18時00分
岩崎 博充(経済ジャーナリスト) *東洋経済オンラインからの転載

携帯電話などの製造拠点は部品のみになり、日本の製造業のシンボル的な存在だった家電業界も、東芝やシャープは海外企業に買収され、シェアは海外企業に奪われてしまった。

少子高齢化、低賃金で放置されたパートタイマー

<③少子高齢化の影響>
日本の少子高齢化の影響は、重大であり、未来に大きな後悔を残すかもしれない。

内閣府がまとめた「データで見るアベノミクス」(平成31年1月25日)は、成果を大きくアピールしている。例えば、雇用環境の成果として次のような項目が列記されている。


●完全失業率......4.3%(2012年12月)→2.5%(2018年11月)、25年ぶりの低い水準
●有効求人倍率......0.83倍(同)→1.63倍(同)、1974年1月ぶりの高水準
●正社員の有効求人倍率......0.50倍(同)→1.13倍(同)、データ収集以来初の1倍
●就業者数......6271万人(2012年)→6522万人(2017年)251万人増、5年連続で増加

さらに、「所得環境」も大きく改善されたとしている。

●名目雇用者報酬......252.7兆円(2012年10-12月期)→282.7兆円(2018年7-9月期)30兆円増
●賃金改定でベースアップを行った企業の割合(一般職)......12.1%(2012年)→29.8%(2018年)。2.5倍、春闘の賃上げ率は5年連続で今世紀に入って最高水準
●最低賃金(加重平均額)......749円(2012年度)→874円(2018年度)125円増
●パート時給(前年比)......0.6%(2012年)→2.4%(2017年)1.8%上昇、9年ぶりの高い伸び

安倍首相と菅官房長官の力が最も強い内閣府がまとめたものだが、マイナス材料はほぼひとつもない「アベノミクス礼賛」のレポートだ。実際に、プラスにならない実質賃金や目標に達していない消費者物価指数はスルーしている。

新規雇用者数の伸びは、人口減少に対応するために非正規雇用や女性のパートタイマー従業員を増やした結果であり、完全失業率の低下や有効求人倍率の上昇は人手不足の表れといっていい。

外国人労働者を受け入れる枠を拡大したことで、政府もすでに人手不足が深刻であることは認めている。さらに、近年の特徴として挙げられるのが、かつては60歳もしくは65歳でリタイアしていた高齢者が、ここにきて60歳で低賃金の雇用者に格下げされ、本来なら65歳で完全リタイアだった高齢者が、格安の賃金でいまだに働き続けている、という現実がある。

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