ベルリン:男女の賃金格差は21%、だから女性の運賃を21%割引に
スイスで行われたイコール・ペイ・デイ Ruben Sprich-REUTERS
<ドイツはヨーロッパで男女間の賃金格差が最も大きい国の一つ。この格差解消を訴えるキャンペーンの一環として、ベルリン公共交通BVGが施策を発表した>
来る3月18日月曜日はドイツのイコール・ペイ・デイ「同一賃金の日」だ。男女間の賃金格差問題への注意を喚起するのが目的だ。欧州委員会の統計局ユーロスタットの2017年のデータによると、ドイツはヨーロッパで男女間の賃金格差が最も大きい国の一つで、21%の差がある。ドイツより格差が大きいのは、エストニアとチェコのみだ。
格差解消を訴えるキャンペーンの一環として、首都ベルリンではベルリン公共交通BVGが、女性のために通常の1日券より21%安い「女性チケット」を3月18日限定で販売することを公表した。
男女賃金格差を示すイコール・ペイ・デイの日付
イコール・ペイ・デイは世界的に見られるが、その日付は国、そして年によって異なる。これは、その国の男女間の賃金格差によって算出されるもので、差が21%であるドイツでは女性が男性より77日多く働いてやっと同一賃金が達成されるということになり、それが2019年では3月18日というわけだ(2018年1月1日を基準にした時)。したがって、イコール・ペイ・デイの日付はその国の格差状況を如実に表しているといえる。
BVGはこの象徴的な数字を使用し、この日、通常7ユーロする1日乗車券より約21%安い「女性チケット」を5.5ユーロで販売する。ベルリンは今年始め、ドイツで初めて3月8日の「国際女性デー」を祝日にすることを決定し、先日さっそく実施したばかりだ。ドイツでは全国的な祝日のほかに州による祝日があるのだが、ベルリンはもともと他の州より祝日の数がやや少なかったため、増やす方向での議論が長く続いていた。「国際女性デー」のほかにも、ベルリンの壁が崩壊した11月9日なども新祝日として検討されていたようだ。
首都が一丸となって女性を支援、巷の反応は?
市が有する公共の交通機関であるBVGの今回のキャンペーンにより、ベルリンは市としての女性への支援を連続して前面に押し出す形となった。ポリティコEU版によると、BVGは「ベルリンのほとんどの男性は、今回のアクションを理解しているだけでなく、サポートもしている」と考えている。
だがSNSなどの反応を見ると、巷での評判はいまいちのようだ。「イコール・ペイ」とは本来「同一の仕事に対する同一賃金」を目指すものなので、平均的な21という数字を利用して、職業の区別なく女性にだけ一律にディスカウントを提供するのはおかしいと言う男性もいる。