反ワクチンのプロパガンダをフェイスブックが助長!? 対策を求める動き
麻疹(はしか)の感染者増加が世界的に問題になっている Jovanmandic-iStock
<世界保健機関(WHO)は、予防接種への躊躇が麻疹感染者の増加の一因とみているが、SNSが予防接種への躊躇や不安を拡大させているとして問題になっている>
米国では、2000年に麻疹(はしか)の排除状態を達成したものの、2008年以降、毎年、感染者が発生し、2019年に入ってからも2月7日までにワシントン州、カリフォルニア州、ニューヨーク州を含む10州で101名の感染者が確認されている。60名の感染者を抱えるワシントン州では、1月25日、ジェイ・インスレー知事が非常事態宣言を発令した。
アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は、麻疹感染者が増加する要因として、国外からウィルスが持ち込まれる輸入感染に加え、ワクチン未接種の人が多い地域で麻疹がさらに流行しやすくなっていると指摘する。
SNSで拡散された反ワクチンの偏った情報
とりわけ、被接種者である子どもやその保護者における予防接種への躊躇はグローバル規模で深刻な課題となっている。世界保健機関(WHO)では、予防接種への躊躇が麻疹感染者の増加の一因であるとみており、「世界の健康に対する10大脅威(2019年版)」のひとつにも挙げている。
ワクチン反対運動を推進する活動家や団体からの偏った情報やメッセージがソーシャルメディアネットワーク(SNS)を通じて拡散され、予防接種への躊躇や不安感を煽っているとの見方もある。
英紙ガーディアンは、2月1日、「ワクチン反対を訴えるプロパガンダの拡散をフェイスブックが助長している」と報じた。
この記事では、「ワクチン接種」をキーワードにフェイスブックのページやグループを検索するとワクチン反対を訴える複数の団体が上位表示されたほか、25歳から44歳までの女性ユーザーを主な標的として「ワクチン接種が乳児を死なす」といった虚偽の文言を含む広告がフェイスブック上で表示されていたことを明らかにしている。また、ガーディアンの取材に対し、フェイスブックはワクチン反対運動団体からの広告出稿を認めているという。
フェイスブック拡散が麻疹の感染増加につながっている?
ワクチン接種の拒否を促す情報やメッセージがフェイスブックで拡散されることが麻疹の感染増加につながっているとして、フェイスブックに対策を求める動きもでている。カリフォルニア州選出のアダム・シフ下院議員は、2月14日、フェイスブックの最高経営責任者(CEO)マーク・ザッカーバーグ氏に公開書簡を送付した。
シフ議員は、この公開書簡において「フェイスブックやその傘下の画像共有サービス『インスタグラム』上で子どもへのワクチン接種をやめるよう保護者に促すメッセージを表示させたり、推奨したりしていることは、米国の公共衛生に直接的な危機をもたらしている」と懸念し、「ワクチン接種に関して医学的に正確な情報をユーザーに提供するべく対策を講じることを要求する」とザッカーバーグ氏に訴えている。
フェイスブックは、米通信社ブルームバーグの取材に対して、「この問題に対処するための追加的措置を検討している」とコメントしている。
今後は、より質が高く、信頼できる情報を確実に提供する一方、指摘されているような種類の投稿コンテンツを推奨から除外したり、検索結果の表示順位を下げるといった措置を講じる方針だ。