最新記事

アメリカ政治

米議会、与野党がメキシコ国境警備予算めぐり前年同額で合意 トランプだけが不満

2019年2月13日(水)09時37分

トランプ米大統領(写真)は、国境警備を巡る与野党の原則合意に不満を表明しつつも、共和党議員の間から署名を促す声が高まる中、真っ向から退けることは避けた。ワシントンのホワイトハウスで撮影(2019年 ロイター/CARLOS BARRIA)

トランプ米大統領は12日、国境警備を巡る与野党の原則合意に不満を表明しつつも、共和党議員の間から署名を促す声が高まる中、真っ向から退けることは避けた。

国境警備費用を巡る与野党協議は前日、原則合意に達した。国境沿いに新たなフェンスを建設する予算13億7000万ドルが盛り込まれているが、規模は前年とほぼ同額で、トランプ大統領の要求する57億ドルのメキシコ国境の壁建設費用は盛り込まれていない。今年度予算が終了する9月末までの資金を手当てする。

トランプ大統領は記者団に対し「詳細に目を通す必要がある。満足していない」とし、基本合意を支持するかどうか決めていないと語った。

同時に「政府機関が再び閉鎖させることはないだろう」とし、政府閉鎖を想定しないことを示唆。ただ、「もし閉鎖に追い込まれることになれば、民主党の責任だ」とも述べた。

共和党側は、35日間に及んだ前回の政府機関一部閉鎖を巡り激しい批判を浴びたこともあり、政府機関の再閉鎖はどうにか回避したい考えで、トランプ大統領に基本合意を支持するよう促す声が多い。

共和党のマコネル上院院内総務はこの日、「与野党の基本合意に大統領が望む全ての項目が盛り込まれているわけではないが、正しい方向に向けた良好なステップと考える」とし、「大統領が署名することを望んでいる」と語った。同党のマッカーシー下院院内総務も基本合意に支持を表明した。

民主党の有力議員も与野党双方が歩み寄ったとし、基本合意に支持を表明。シューマー上院院内総務は「署名するよう大統領に強く促す」と述べた。

トランプ大統領はこれまでに、議会の承認なしに壁建設費用を確保するため、国家非常事態の宣言も辞さないと表明しているが、この日も「重要なのは壁であり、われわれは壁を建設する」と述べ、他の政府予算から資金を移し、建設費を確保する可能性があることをあらためて示唆した。

民主党議員によると、基本合意に基づく正式な予算案は13日までに用意される見通し。ただ、現在のつなぎ予算が失効する15日までに時間はさほど残されていない。

[ワシントン 12日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20241126issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

米中古住宅販売、10月は3.4%増の396万戸 

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、4
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中