米国、高級ピックアップトラックが好調 ビッグスリー雇用の命綱に
フリント工場では1000人の新規採用を予定している。メアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)によるリストラ計画の一環としてGMが閉鎖対象としている工場からの配置転換を希望する従業員は1500人いるが、その半分以上を吸収できる計算だ。
ペレズ工場長は「毎週50─100人、新しい従業員が入ってくる」と言う。
従業員らは先週、総額15億ドルの投資プロジェクトの一環として、新型の大型ピックアップの生産に向けて、フリント工場の設備更新業務の仕上げに追われていた。
新たな組立ラインのハイライトは、2階建てほどの高さのあるファナック製ロボットが、ピックアップトラック用の車室(キャビン)と荷台(ベッド)を別々のパレットから持ち上げ、向かい合わせのアーク溶接機へと送り込み、その後、ゆっくりとフレーム部分に下ろして、さまざまなロボットによるボルト接合が行われる工程だ。
ビッグスリーの幹部は、大型ピックアップの市場を守っているのは、「モート(堀)」と呼ばれる輸入トラックに対する25%の関税、そして何十年にもわたるエンジニアリングの経験だと胸を張る。
それによって、3万ポンド(13.6トン)もあるトレイラーをけん引でき、大型高級セダンに匹敵する乗り心地、そしてBMWやレクサスといった高級車と同等の安全性やネット接続機能を備えたピックアップを生産してきたのだ。
ケアリー・ウィリアムズさんは、ディケーターで自動車販売店を経営している。毎月235台ほど売れる新車のうち、4分の3はピックアップだ。その半分近くは、7万ドル以上もするハイエンド寄りの高級仕様車である。
ウィリアムズさんは、ラムの新型ピックアップがGMのライバルになることは心配していない、と言う。
「ピックアップはわれわれの生活を支える柱であり、(GMの)ニューモデルは、顧客の求めるあらゆる機能を備えることで、それを証明してみせる」
空調機器設置・修理業の2代目オーナーであるマーク・アリーさん(37)は、2019年型「シルバラード・ハイ・カントリー」を6万5000ドルで購入した。リアシート用の独立したエアコン、360度撮影可能なカメラ、電話やテキストメッセージの送受信が可能なハンズフリー機能がお気に入りだ。
「GMはテクノロジーの力で2019年型ピックアップを本当に進化させた」とアリーさんは言う。