最新記事

軍事衝突

カシミールの軍機撃墜でインド=パキスタン情勢が緊迫化 米中やEUが自制要請

2019年2月28日(木)12時40分

インドとパキスタンは、互いの戦闘機を撃墜したと発表し、パキスタンはインド軍のパイロットを拘束したと明らかにした。撃墜されたインド軍のヘリコプターの残骸。カシミール地方で撮影(2019年 ロイター/Danish Ismail)

インドとパキスタンは27日、互いの戦闘機を撃墜したと発表し、パキスタンはインド軍のパイロットを拘束したと明らかにした。前日にはインド軍の戦闘機がパキスタン領域内で1971年以来初めてとなる空爆を実施。米中や欧州連合(EU)が自制を求めている。

核保有国のインドとパキスタンは、ここ2日間で空爆を指示する一方、地上部隊も10カ所以上で交戦している。

両国が領有権を争うカシミール地方では今月14日、インド支配地域で同国の治安部隊を乗せたバスを狙った乗用車による自爆攻撃があり、同部隊の隊員少なくとも40人が死亡し、緊張が拡大した。攻撃後、パキスタンを拠点とするジェイシモハメドが犯行声明を出した。しかしその後、インドが過激派の訓練施設とする拠点を26日に空爆し、対立のリスクが一気に高まった。

インド政府高官筋は26日の空爆で過激派戦闘員300人が死亡したと述べたが、パキスタン側は死者はいないとしている。

米ホワイトハウスは対立激化を非難し、インドとパキスタンの双方に「緊張緩和に向けて直ちに対応するよう」呼び掛けた。

匿名の米国家安全保障会議(NSC)当局者は「両国、周辺国、国際社会にとって、さらなる軍事行動に関連する潜在的リスクは非常に高い」と述べた。

米国防総省は声明で、シャナハン国防長官代行が「両国へのさらなる軍事行動の回避要請と緊張緩和」に注力していると発表した。

アサド・マジード・カーン駐米パキスタン大使は記者団に対し、パキスタン政府は緊張緩和に向けて米トランプ政権の積極的な関与を望むと述べた。一方で、インドのパキスタン空爆を米国が非難していないことが「インドの立場への支持と解釈されており、これがインドの行動を助長させている」との見方を示した。

パキスタンのカーン首相はインドに対話を要請。テレビ演説で「歴史的にみて、戦争は誤った判断によって起こっている」と指摘した。「われわれが保有する武器を考慮すると、誤った判断を示す余裕はあるだろうか」とし、話し合うべきだと述べた。

インドでは数カ月後に総選挙が控えている。アナリストなどは、モディ首相による空爆指示決定は首相にとって政治的にプラスとなる可能性はあると指摘したが、野党は27日、首相が対立を利用していると批判した。

ポンペオ米国務長官は、インドとパキスタンの外相とそれぞれ個別に会談したとし、「自制してこれ以上の軍事行動を避けるよう」促したことを明らかにした。また、直接対話を優先するよう両外相に求めたと述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

台湾、米関税対応で87億米ドルの支援策 貿易金融な

ビジネス

世界食料価格、3月前年比+6.9% 植物油が大幅上

ビジネス

EUは米国の関税に報復すべきではない=仏財務相

ビジネス

中国が対抗措置、全ての米国製品に34%の追加関税 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描かれていた?
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 6
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 7
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 8
    テスラが陥った深刻な販売不振...積極プロモも空振り…
  • 9
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 10
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中