中国のAI巨大戦略と米中対立――中国政府指名5大企業の怪
これら国家指定の5大企業を、その英文の頭文字を取って「BATIS」(バーティス)と称することもある。たとえば日経新聞の<アリババ、バイドゥ...「BATIS」の野望>など。
ここで注目しなければならないのは、その5大企業の中に、「華為(Huawei)」が入っていないことだ。
なぜ5社から華為(Huawei)が除外されたのか
昨年4月、Compass Intelligence社が、AI半導体チップ企業の世界ランキングに関する調査結果を出している。但し、AI半導体チップはまだ生産が始まったばかりであるため、売上高などでランキングを決めることができないので、企業の履歴分析や特性などにより分析を試みた結果であるという。セミコンポータル(semiconportal)という日本語のサイトに<AI半導体チップの新たなランキングが登場>という記事があり、そこに世界トップ15の企業名が貼り付けてあるので、詳細はこのページをご覧いただきたい。
ランキングの「12」のところにHuawei(HiSilicon)という企業名がある。HiSilicon(ハイリシコン)は華為の中にある研究部門が独立して2004年に誕生したHuaweiだけのための半導体メーカーである。
半導体に関しては中国国内でトップであるだけでなく、中国で唯一、アメリカの大手半導体メーカーであるクァルコムと肩を並べ得る。5Gにおいてもクァルコムと同等に競争している。また、AI半導体チップに関して世界と戦える中国の唯一の半導体メーカーは、Huaweiのハイシリコンだけであることが、このAIチップセットのランキングを見れば歴然としている。
それなのにAI巨大戦略を動かすために中国政府が指名した5大企業の中にHuaweiが入っていない。
なぜなのか―ー?
主たる理由は二つある。
1.先ず明確に言えるのは、ハイシリコンの半導体は外販しないという絶対的原則があるということだ。Huaweiのためにしか使わず外販しないのだから、当然、中国政府に提供することはない。だから中国政府も政府の事業を担う企業としてHuaweiを指名しないし、Huaweiに支援金を渡すことも全くないわけだ。
2.国有企業(=中国政府)ZTEとHuaweiは対立しており、「30年戦争」を闘ってきた。1993年、94年には、時の李鵬首相がHuaweiを潰すために国務院指令を発布しているほどだ。