最新記事

中朝首脳会談

金正恩訪中と習近平の思惑――中国政府高官を取材

2019年1月10日(木)19時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

Q:どこまで行けば、反省が本物だと判断するのですか?

A:ん......、それは難しい質問だ。回答しにくい。ただ、本気で非核化するなら、少なくとも核申告リストに関しては、もう少しレベルを上げたものを提出すべきだろう。米朝、どちらも相手が信用できないので、アメリカは制裁をやめないし、金三は完全な核申告リストを出す勇気を持っていない。この平行線は、トランプが大統領である内に乗り越えないと、金三はチャンスを失うだろう。

金正恩が「非核化堅持」を表明:習近平の説得があったのか

Q:今朝(1月10日)のCCTV(中央テレビ局)ニュースで、ようやく中朝首脳会談の様子を公開しましたが、そこで金正恩が「非核化の立場を堅持し、対話で核問題を解決する」と表明したと発表しましたね。これは習近平の説得に応えたものなのか否か、教えて下さいませんか?

A:その質問には答えられない。ただ、習近平がなぜ訪朝しないのかに関して、先ほど説明した通りだ。

Q:なるほど。でしたら、それはこちらで類推しましょう。ただ、朝鮮中央通信は金正恩が習近平に対し、都合のよい時期に公式に訪朝するよう要請すると、習近平もこれを受諾して計画を伝えたと報道しています。ということは、安倍さんに「一帯一路に協力するなら公式訪中の招聘状を書いてあげてもいい」という条件を付けたように、金正恩に対しても「核申告リストに関して、もう少しレベルの高いものを出さないと、チャンスを失う」というようなアドバイスをして、それを金正恩が納得したので習近平が公式訪朝を受諾したのではないかと推測されますが、この点は如何ですか?

A:推測するのは勝手だが、少なくとも中方は、そういう発表をしていない。したがって承知していない。

Q:なるほど。ありがとうございました。

以上だ。

長くなり過ぎたので、あとは賢明なる読者の判断にお任せしたい。

endo2025.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

この筆者の記事一覧はこちら≫

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

独新財務相、財政規律改革は「緩やかで的絞ったものに

ワールド

米共和党の州知事、州投資機関に中国資産の早期売却命

ビジネス

米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 サハリン

ビジネス

ECB総裁、欧州経済統合「緊急性高まる」 早期行動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 9
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中