アップルショック再び 市場をリードする象徴銘柄の急落が意味するもの
1月4日、アップルショックが、また金融市場を襲った。写真はボスニア・ヘルツェゴビナのゼニツァで2016年4月撮影(2019年 ロイター/Dado Ruvic)
アップルショックが、また金融市場を襲った。業績下方修正の理由が中国での販売不振であったため、企業業績全体への懸念に広がり、世界的な株安が進んでいる。ただ、マーケットが不安視しているのは、業績悪化だけではない。同社株を組み込んでいたファンドへの影響や、自社株買いの減少など需給面への警戒感も株安の背景だ。象徴的銘柄の急落は、上昇相場を支えてきたマネーの逆回転を引き起こしつつある。
自社株買いの減少
アップルの自社株買いはすさまじい。2018年は9月までに752.7億ドル(約8兆円、出所:S&P Dow Jones Indices)の自社株買いを行っている。1社でS&P500社全体の10.4%を占める規模だ。過去10年間では2503億ドル(約27兆円)に達する。
そのアップルが業績下方修正を行った。中国でのiPhone販売減速を主因として、年末商戦を含む第1・四半期(12月29日まで)の売上高見通しを引き下げた。同社が四半期決算発表前に売上高見通しを下方修正するのは、2007年のiPhone発売後で初めてで、先行きへの不安が強まっている。
関連企業への受注減少だけでなく、いずれ同社の自社株買いにも影響が出るのではないか──。そうした警戒感も3日から4日にかけての世界的な株安の一因になった。
米株市場では、ここ数年、企業の自社株買いが買い手の筆頭となってきた。トリムタブスによると、米企業が2018年に入ってから発表した自社株買いは、過去最高の1兆ドル(約108兆円)を突破。発表ベースではない実際の購入額も、過去最高水準の見込みだ。
投資機会の減少により、企業は余裕資金を使って自社株買いを拡大するとの見方もある。しかし、リーマン・ショック時には、米企業の自社株買いは大きく落ち込んでおり、あくまで業績悪化の程度次第だ。
企業の業績悪化は、1株利益のスローダウンという株価のファンダメンタルズ的な要因だけではなく、需給的にもマーケットに大きな影響を与える可能性があるのが株式市場の現状である。