「ハウス・オブ・カード」の米俳優ケビン・スペイシー、7日に出廷へ──セクハラ、性的暴行疑惑とアーティストの関係とは
昨年12月には元モデルのクリスチーナ・エンゲルハルトが、1970年代、自分が17歳未満の時にアレンと性的関係を持っていたと雑誌のインタビューの中で述べた。ニューヨーク州で性的合意の年齢は17歳である。
エンゲルハルトはアレンに対し「何の不満も持っていない」と述べており、アレンを非難するために過去を暴露したわけではないようだ。しかし、ディランの例も加味すると、「少女に違法に性的関係を迫る男性」というイメージが強化された格好だ。
アレンの最新作は「ア・レイニー・デー・イン・ニューヨーク」で、2017年秋にすでに撮影は終了しているが、公開時期は未定のままだ。
アレンも、スペイシーも映画界でのキャリアが事実上、停止してまった。
どちらの場合も、裁判で有罪となったわけではない。しかし、社会での評判が大きな要素になる職業のため、関係者が手を引いたような状況だ。また、「スペイシーの過去の作品を見ていると、現在の疑惑のことが気になって集中できない」という視聴者もいて、難しい。
両者の活動が停止してしまうことについては、賛否両論があるだろうと思う。
スペイシーに関しては、筆者はまず事実を知りたいという思いがする。
ただし、同意があったのかなかったのかについては意見が分かれそうだ。何年もあるいは何十年も前の出来事であれば、どちらの場合でも証明はさらに困難になる。
アレンの疑惑の1つは養女に対する性的暴力だったが、実の娘との性行為がのちに判明したアーティストがいる。
ロンドンの地下鉄「オックスフォード・サーカス駅」から歩いて数分で、BBCの放送センターのビルに行き着く。左側にあるのは旧・放送センターの建物で、外壁にはイギリスの彫刻家・書体デザイナー・版画家として知られるエリック・ギル(1882-1940年)が製作した作品が飾られている。
シェイクスピアの「テンペスト」に触発された作品で、「プロスぺローとエアリアル」(1932年)という題がつく。
実の娘や犬と性行為
1989年に出たギルの伝記本の中で、ギル自身が書いた日記の内容が紹介されており、それによると、ギルは姉妹、実の娘二人や犬と性行為を行っていた。出版後、この彫刻は「取り去るべきだ」とする声が一部で上がった。
筆者はこの事実をBBCのある番組を見ていた時に知った。衝撃を受けたし、どこかの美術館で公開されているのであればともかく、公共放送としてのBBCの建物の外壁に置かれていることに納得がいかなかった。
ギルの「プロスぺローとエアリアル」(BBCのアーカイブサイトより)