1月だけで死者115人、デング熱大流行の兆し インドネシア、非常事態宣言も
シンガポール、マレーシアでも事例増加
在留邦人が最も多い首都ジャカルタではこれまでに感染による死者は報告されていないが、隣接する西ジャワ州では死者1人が発生している。
ジャカルタの日本大使館はホームページで「デング熱は例年雨期に患者数が増加し、国内全体では約10万人の患者が発生する。ジャカルタ在住の日本人からも毎年何人もの発症者がでているので注意が必要である」として在留邦人や旅行者に注意の必要性を訴えている。
またインドネシアの隣国で日本人観光客も多く訪れるシンガポールでは、国家環境庁(NEA)が2018年11月25日から12月1日までの1週間でデング熱の感染例が100件を超え、同年で初めて週間感染例が100件以上となった。
2019年1月初旬に週間感染例が250件を、中旬までには455件を上回る事態となり、2018年の年間感染例3000件を超える勢いを見せていることから、NEAは関係各方面に注意を喚起する事態となっていると現地英字紙「ストレート・タイムズ」は報じている。
また、マレーシアでもデング熱は猛威を振るう事態となっており、「マレー・メール」の報道によると観光地として知られるペナン州では1月末までの974件の発生が確認され、3人が死亡しているという。昨年同期の324件、死者ゼロと比較しても今年の数字が高いことがわかる。
マレーシアでは2017年1月にデング熱に感染した在留邦人がその後死亡する事例も報告されている。
潜伏期間の関係で日本に帰国後に発症する旅行者や出張者もあり、日本の主要国際空港の検疫所でも高熱などデング熱の症状のある人の発見など水際対策を強めている。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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