不動産価値の低下を住民が懸念するのは悪なのか? ルソーで読み解く南青山児相問題
What Would Rousseau Think of the Aoyama Children Center?
南青山の住民と議論する前に、区が先に建設予定地ありきで進めた側面は否めない。その場合、「説明しにくい裏があるのでは」と不安を募らせ、時には声を荒らげ反発する住民がいてもおかしくない。ネットでは「地価下落を恐れる不動産業者が扇動している」との陰謀説も流布したが、利害関係者である業者が反対運動に関わるのは許されないことだろうか。
行政の決定によって不動産の価値が低下する懸念を地元住民が表明するのは悪なのか。住民は発言に気を付けねばならない公的な立場にはない。児童相談所の建設という公共的理念を示されたら、私的利害は即座に引っ込めねばならないのか。
似非セレブをメディアやネット世論の力で無理に黙らせ、誰も反対できない状況で建設を滞りなく実現したとしても、それは本当に相談所を必要とする子供のためになるのだろうか。
「正しい意見」は問答無用に通用すべき、との発想はあまりに危険だ。
<本誌2019年01月01&08日号掲載>
※2019年1月1/8日号(12月26日発売)は「ISSUES2019」特集。分断の時代に迫る経済危機の足音/2020年にトランプは再選されるのか/危うさを増す習近平と中国経済の綱渡り/金正恩は「第2の鄧小平」を目指す/新元号、消費税......日本は生まれ変わるか/フィンテックとAIの金融革命、ほか。米中対立で不安定化する世界、各国はこう動く。
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