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太陽太陽の北極の外観を推測した人工画像が初めて公開される
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5ヶ月以上かけてデータをつなぎ合わせた Credit: ESA/Royal Observatory of Belgium
<欧州宇宙機関は、2009年に打ち上げられた「PROBA-2」の観測データをもとに推測した太陽の北極の人工画像を初めて公開した>
英国、ドイツ、フランスなど、欧州22カ国が加盟する欧州宇宙機関(ESA)では、米航空宇宙局(NASA)との共同事業として1990年に打ち上げられた太陽極域軌道探査機「ユリシーズ」や1995年に打ち上げられた太陽・太陽圏観測衛星(SOHO)、2009年に打ち上げられた小型衛星「PROBA-2」などを通じて、太陽の観測や探査に取り組んできた。
しかし、太陽の極域を観察する軌道に投入されたユリシーズを除き、太陽を低緯度から観測するものがほとんどで、太陽の極地については、まだ十分に調査されていないのが現状だ。
5ヶ月以上かけてデータをつなぎ合わせた
このようななか、欧州宇宙機関は、2018年12月3日、「PROBA-2」の観測データをもとに推測した太陽の北極の人工画像を初めて公開した。
「PROBA-2」は、極地を直接観測できないものの、「PROBA-2」に搭載された極紫外線太陽望遠鏡「SWAP」で太陽大気を観測する際、太陽の円盤の周りに広がる太陽大気も含め、視界に沿ってすべてのものをデータで収集している。
そこで、研究者チームは、これらのデータをもとに極地の外観を推測することにし、2018年6月から5ヶ月以上かけてデータをパッチワークのようにつなぎ合わせ、人工画像を作成した。この人工画像は、コロナホールやアルヴェーン波、ロスビー波といった太陽の極地で起こる現象についてより深く知るための手がかりとなるという。
探査計画が進む太陽の極地
まだ多くの謎に包まれている太陽について解明をすすめようと、さらなる探査に向けた動きが活発になっている。米航空宇宙局では、2018年8月12日、太陽に"触れる"ことをミッションとする太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が打ち上げられた。太陽の表面から約400万マイル(約644万キロメートル)の太陽大気の中を航行しながら、太陽コロナを通じてエネルギーや熱がどのように移動しているかを追跡し、何が太陽風を加速させているのかを探る計画だ。
(参考記事)太陽コロナに触れる探査機、熱で溶けない4つの理由:NASAが8月打ち上げへ
欧州宇宙機関でも、太陽の極域を観測する太陽観測衛星「ソーラー・オービター」を2020年2月に打ち上げる計画を明らかにしている。
近い将来、これらの探査機や観測衛星からもたらされるであろう太陽の極地のリアルな姿は、いったいどのようなものなのだろうか。この人工画像との対比も含めて興味深い。