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「インスタ映え」に悩む若者たちの新展開 「いいね!」獲得はより複雑・高度に

2018年12月21日(金)20時40分
原田曜平(サイバーエージェント次世代生活研究所・所長) *東洋経済オンラインからの転載

あえてネタに振り切った投稿

世界の渡辺直美タイプ
 

普段は行けないような高級で非日常的な世界(海外旅行や高級レストランなど)のなかで絶対にインスタ映えするスポットやモノを使って、「あえて」ネタに振り切った投稿をする人たちもいます。

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グアムのプールにて。海とプールが繋がって見えるかのような写真。フードとサングラスを身につけ、てるてる坊主風にして、あえてちぐはぐに(写真:筆者提供)

彼らはインスタ映えする場所・モノの中に、変顔・変なポーズ・変な服装などを組み合わせて"ちぐはぐな要素"を取り入れます。

インスタ映えを明らかに狙った構図やキメ顔をした写真を投稿すると、狙っていることが表に出すぎてウザいと思われてしまわれがちです。そこで投稿に若干"崩し"を入れながら、楽しさをアピールしつつ、さりげなくすてきさをアピールするという工夫が生まれています。

嫌みな投稿にしないためには、それを緩和するような、面白いネタに振るなどの工夫が必要になります。

若者たちには非日常で高級なものへの憧れもありますが、その分ねたみも買ってしまいます。そこで彼・彼女たちは海外のインスタ映えするスポットに行ったり、ブランド品のインスタ映えするモノを持っていたとしても、少しネタ要素も入れて、面白くてセンスの良い画像を投稿しているようです。

こうした投稿をする若者たちの特徴は、オシャレで流行にも敏感であることです。普段の投稿もオシャレなものばかりで、フォロワーも多い傾向にあります。彼・彼女たちはかなりハイセンスですが、このようなネタに振り切った投稿をたまにすることで、「センスもいいし、面白い」という好感度の高くて憧れられるようなキャラクターを手に入れていると感じます。

芸能人で言うと渡辺直美さんがこの部類に所属するかもしれません。彼女の投稿は、きれいなプールや海で化粧がとれた顔や不意打ちの顔、インスタ映えするアイスを手に持って変顔をしたりして、よく写真に収めています。

躍動感を表現
 

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同級生の結婚式の際の写真。ドレスを着ながら、教会であえてジャンプして写真に写っている。ブレ感を出すことで、写真写りを気にしないほど、その瞬間を楽しんでいる様子を表している(写真:筆者提供)


投稿写真で「躍動感」を出す人たちがいます。彼・彼女たちは、インスタ映えするような場所で絶対にキメ顔で写ったりせず、写真のようにジャンプをしたりあえてブレ感を出します。顔の写り具合や写真写りなどを気にせずに、その瞬間を本当に楽しんでいるということを表現しようとしているからです。

日頃こうした投稿をしている女子高生のDさんに聞いてみたところ、「投稿する際には統一感を出し、キメキメの投稿をしてイキってる、お金持ちアピールをしているなと思われないように気をつけています」と語ってくれました。

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