最新記事

中国

Huawei総裁はなぜ100人リストから排除されたのか?

2018年12月31日(月)15時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

Huaweiスマホの販売店(北京) Thomas Peter-REUTERS

12月18日、人民大会堂で改革開放に貢献した100人が表彰されたが、その中に「最も貢献したはずの」Huawei総裁・任正非氏の姿はなかった。任正非と中国政府との距離の取り方を考察する。

任正非と表彰された100人との違いはどこにあるのか?

12月18日、北京にある人民大会堂で改革開放40周年記念大会が開催され、この40年間、改革開放に貢献した100人の傑出人物が表彰を受けた。100人は、「民間企業、科学者、教員、医者、農民工......」など、多岐にわたる分野から選ばれており、民間企業はさらにインターネット、自動車、ハイテク産業......など、いくつかの細分化した分野から各代表を選んでいる。

その中に、まさに改革開放とともに歩んできて、典型的な小さな企業から国際的に一、二を争う大企業まで成長したHuawei(華為技術)の任正非総裁が入っていないことは国内外の中国人を驚かせた。

では、なぜ任正非は選に漏れたのだろうか?

表彰された人物と任正非との違いを、数例を取って、まずは「中国共産党あるいは中国政府に関する肩書との関係」において比較してみよう。

●レノボ(聯想)の柳傳志:第16回党大会(2002年)・第17回党大会(2007年)代表、第9期(1998年)・第10期(2003年)・第11期(2008年)全人代代表など。

●テンセントの馬化騰:現役の全人代代表、現役の中華青年聯合会(中国共産主義青年団の組織の一つ)副主席など。

●バイドゥ(百度)の李彦宏:第12期全国政治協商会議(2013年~2018年)代表、第11期中華全国工商業連合会(2012年)副主席、第8期北京市科学技術協会(2018年)副主席など。

●GEELY(吉利集団)の李書福:現役の全人代代表、第11期(2008年~2013年)・第12期(2013年~2018年)全国政治協商会議代表、現役の浙江省工商聯副主席など。

★Huawei(華為)の任正非: 第12回党大会代表(1982年~1987年)。それ以降なし。  

このように任正非以外は、何らかの形で中国共産党(党大会)や中国政府(国務院)系列の全人代あるいは全国政治協商会議の代表として、複数回肩書を持ち、党や政府と関連を持っている。一般に出世しようと思う人間は、党や政府に近づくことを好むものだ。

しかし任正非は違う。

むしろ、党や政府に近づくまいとするのが、彼の特徴なのである。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック反発、CPI鈍化受

ビジネス

NY外為市場=ドル小幅高、インフレ鈍化で安心感 関

ビジネス

米成長率、第1四半期は「少なくとも」2─2.5%の

ワールド

プーチン氏、クルスク州視察 ウクライナ軍「必要な限
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「腸の不調」の原因とは?
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    株価下落、政権幹部不和......いきなり吹き始めたト…
  • 5
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 6
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 7
    トランプ第2期政権は支離滅裂で同盟国に無礼で中国の…
  • 8
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎…
  • 9
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 10
    「トランプの資産も安全ではない」トランプが所有す…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 6
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 9
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 10
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中