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中国経済縮みゆく中国の民間経済 習近平の国有企業重視に経済悪化が追い打ち
11月6日、かつて活気に満ちていた中国の民間セクターは、今年入って急激に進んだ経済悪化の直撃を受けており、起業家の中から政策の効果ばかりか政府の真意を疑う声まで上がっている。河北省で2017年撮影(2018年 ロイター/Thomas Peter)
かつて活気に満ちていた中国の民間セクターは、今年入って急激に進んだ経済悪化の直撃を受けており、起業家の中から政策の効果ばかりか政府の真意を疑う声まで上がっている。
起業再興を促した中国の改革・開放政策は40周年を迎えたが、民間企業の間では政府は国有企業重視の姿勢を強めているのではないかと不安が広がっている。
習近平国家主席は先週放映された起業家との会談で民間企業への支持を表明し、公平な経営環境や減税を約束。民間セクターへの金融支援も改めて確認した。
しかし習氏は同時に国有セクター擁護の姿勢も示し、国有企業の改革を進めて監視を強化することは、全国民のものである国有資産の保護に役立つと述べた。
江蘇省の防護手袋メーカーの幹部は「長い目で見るとプレッシャーはかなり大きくなるだろう。大企業の優位がどんどん強まる一方、中小企業は食い物にされるか破綻するか、そのいずれかでしかないのは明らかだからだ」と話した。
成長鈍化を受けて政府がリスクの高い借り入れの引き締めを強化したため、民間セクターは資金調達が苦しくなり、経営が悪化するところも出ている。国営メディアによると、今年に入って国有企業に株式を売却した上場民間企業は少なくとも40社に上る。
民間セクターは環境保護当局が公害対策と称して中小企業を閉鎖しているほか、多くの輸出業者は米中通商紛争の影響を受けやすく、大手国有企業に競争で負けているという。
先行きが不透明なため、民間セクターでは事業の拡大ではなく現状維持を選ぶ企業もある。
江蘇省常州の産業用装置メーカーの幹部は「民間企業は事業の拡大・増強など考えず、ほどほどで行くべきだ。事業を広げれば、国家や社会、政府との関係を考慮せざるを得なくなってしまう」と話した。
中国が経済開放を進めるなか、民間セクターはこの30年間おおむね繁栄の道を歩んできたが、先の世界金融危機を受けて政府が大規模な景気てこ入れ策を進めたおかげで大手国有企業が返り咲いた。
劉鶴副首相は先月、民間企業を犠牲にして大手国有企業を優遇しているとの見方は「偏っており、誤っている」と述べた。その上で、国有銀行や国有企業は資金繰り悪化に直面している民間企業を支援し、事業改革も担っていると主張した。
安定を重視する政府は民間企業の間で不満が広がるのを望んでいない。労働争議が激しくなったり労働組合組織化の動きが強まる恐れがあるからだ。習氏も先週、「民間経済はより大きな舞台に向かうべきだ」と述べている。
政府はこの数カ月で調達コストの引き下げや減税、インフラプロジェクトの拡大など対策を講じている。しかしこうした控え目な政策が効果を発揮するには時間が掛かるとアナリストはみている。
政府顧問の立場にある人物は、政府の政策が短期間に一定の効果を上げたとしつつも、「これでは不十分だ。長期的には根本的な考え方や改革に目を向け、大手国有企業と民間企業の関係にどう対処するか考える必要がある」と述べた。
[北京 6日 ロイター]