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米中関係

「キッシンジャー・習近平」会談の背後に次期米大統領候補

そのブルームバーグ氏は、通信社「ブルームバーグ」主催で、「Bloomberg New Economy Forum(ブルームバーグ 新経済フォーラム)を今年11月6日から7日にかけてシンガポールで開催した。

メイン・スピーカーに王岐山国家副主席を選び、フォーラムにはキッシンジャーやポールソン元米財務長官(ゴールドマン・サックス出身)あるいはゴールドマン・サックスのCSO(最高戦略責任者)であるコーエン氏などを招待している。

奇妙なのは、招待者の最後に、あのバノン氏の名前もあることだ。バノンと王岐山は前に会っており、その関係から言えば不思議ではないが、米側は「反トランプ陣営」で揃えているので、露骨さを避けるためにバノンにも声を掛けたと見るべきかもしれない。バノンはフォーラム開催のギリギリになって招待者の中に名を連ねたようだ。もっとも、バノンもまたゴールドマン・サックス出身の人間ではあるが。

ブルームバーグ氏は壇上で王岐山と熱烈な握手を交わし、親密さをアピールした。

キッシンジャーは、このフォーラムへの参加を終えた後に、その足で北京に向かった。だから習近平と会談したのは11月8日になったわけだ。王岐山とは北京でも対談しているので、二人は短期間に2回も会談したことになる。

親中派の米財界人が翻すトランプ政権への反旗

ここから「どのような風景」が見えるだろうか?

トランプ政権はたしかに習近平政権への圧力を高め、ペンス副大統領などは今年10月4日にアメリカのハドソン研究所で激しい対中強硬演説を行っている。

しかし、政権が代わったら、どうなるだろうか?

実は反トランプ陣営は、いわゆる対中強硬派でもある民主党議員ばかりではない。

反トランプであると同時に、激しい親中派が米大財閥には大勢いて、習近平を取り巻いているのである。

それがキッシンジャー・アソシエイツの洗礼を受けた米財界人の一群だ。

習近平の母校である清華大学の経済管理学院には顧問委員会というのがあって、ほとんどを米大財閥のCEOや元CEOなどが占めている。彼らの多くは、キッシンジャー・アソシエイツの顧客として中国入りをしてきた。メンバーの中にはポールソンのように、元米財務長官だった大物もいれば、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、ゼネラル・モーターズ、ブラック・ストーン......などの会長やCEOといった老練、あるいは新しいところではスペースXのイーロン・マスクやフェイスブックのマーク・ザッカーバーグなども顔を揃えている。

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