中国人投資家、今度はギリシャ不動産「爆買い」に走るワケ
裏側
人民元が今年、対ドルで6%超下落していることも追い風となっている。中国政府は海外投資を制限しているが、中国の投資家は国外に資金を持ち出す術を見いだしている。
北京出身の元会計士で、ギリシャ投資によるゴールデン・ビザ取得を検討しているリアン・ウェンミンさん(29)は、ギリシャの不動産購入は、単に価格が安く、ビザ取得で、欧州連合(EU)域内を自由に移動できるからだけではないと話す。
ギリシャの温暖な気候も魅力の1つだと、リアンさんは言う。
「ギリシャの天気は非常に良く、人も食べ物も気に入っている」と、アテネ中心部を見渡せる高級住宅街にあるアパートのバルコニーでリアンさんはロイターに語った。リアンさんはこの物件の購入を検討しているという。
リアンさんはアテネ中心部にあるアパート1─2戸を25万ユーロで購入し、1つを米エアビーアンドビー(Airbnb)のような民泊仲介サイトで貸し出す計画だ。さらに可能なら、南部郊外に自宅用の物件も購入したいと考えている。
「25万ユーロ出せば、ここではアパート物件を2、3戸買えるが、北京で同じ金額を出しても、まあまあ良い場所にある広さ30平方メートルの物件を1つしか買うことができない。それは大きな違いだ」とリアンさんは語った。
かつて中国人に人気の移住先だった米国やカナダ、オーストラリアで昨年規制が強化されたことも、ギリシャに有利に働いていると、北京に拠点を置くブルーム・コンサルティングのアリス・マ営業部長は指摘する。
同じく5年間の滞在を許可するポルトガルのゴールデン・ビザ制度も、英仏の投資家と同様、中国人の関心を引き付けている。だがポルトガルの場合、少なくとも50万ユーロの投資が必要となる。
イオアニス・アナスタシアディスさんが経営するアナスタシアディス・グループは、ビザ取得のために弁護士や公証人をあっ旋するなど、中国人投資家にさまざまなサービスを提供している。
「ギリシャは徐々にだが、移住先として人気を集めつつある。中には、『ついのすみか』として検討されることもある」とアナスタシアディスさんは言う。