EU離脱で土俵際のメイ英首相、後任候補の顔ぶれ
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11月15日、与党・保守党を率いるメイ英首相は、英政府が合意したEU離脱協定案に反発し、離脱支持派の首相就任を求める反EU派議員からの攻撃にさらされている。写真は、後任候補の1人、レッドサム下院院内総務。ロンドンで13日撮影(2018年 ロイター/Simon Dawson)
与党・保守党を率いるメイ英首相は、英政府が合意した欧州連合(EU)離脱協定案に反発し、離脱支持派の首相就任を求める反EU派議員からの攻撃にさらされている。
メイ氏は次期総選挙が行われる2022年までの続投を表明したが、辞任を求める議員が一定数に達すれば不信任投票に持ち込まれる。
メイ氏の主な後任候補の略歴は以下の通り。
●ボリス・ジョンソン氏(54歳)
メイ氏批判の急先鋒。メイ氏のEU離脱交渉の進め方に抗議し、7月に外相を辞任した。多くの反EU派から2016年のEU離脱キャンペーンを代表する人物と目され、10月の保守党党大会では強い口調で自説を展開した。保守党は低税率と強硬な政策という従来の方針に回帰し、左派、労働党の政策を模すべきではないというのが持論。
●ジェレミー・ハント氏(52歳)
7月に辞任したジョンソン氏に代わり、保健相から横滑りで外相に就いた。保守党員はEU離脱を巡る見解の相違をいったん棚上げし、共通の敵であるEUとの戦いで団結すべきだ訴えている。2016年の国民投票ではEU残留に投票した。6年にわたり保健相を務めた経歴を持つが、有権者の支持は今一つ。
●ジェイコブ・リースモグ氏(49歳)
古き良き英国紳士のイメージを醸し出す富豪で、離脱急進派の一部から熱狂的な支持を得ている。影響力を持つ反EU議員グループのトップで、離脱協定案が公表された翌日にメイ氏に不信任の書簡を送りつけた。ただこのほど、自身は首相に就任するつもりはないと表明した。
●ドミニク・ラーブ氏(44歳)
離脱協定案は保守党の公約に反するとして、15日にEU離脱担当相を辞任した。在任期間はわずか5カ月だった。閣僚としては新参者に属するが、2010年の当選以来、閣外相を歴任している。16年の国民投票では離脱を訴えた。空手の有段者。
●サジード・ジャビド氏(48歳)
元バンカーで自由市場主義者。入閣後は大臣の座を歴任し、党内で支持を固めてきた。パキスタン系移民の第二世代。反EU派とみられていたが、16年の国民投票では残留支持に投票した。