正規・非正規の待遇格差をなくせば日本の働き方は変わる
日本の場合、正規と非正規では収入面で著しい格差がある Boarding1Now/iStock.
<過去25年で日本の労働者のうち非正規雇用者が占める割合は2倍に増加。しかし非正規を正規にすることだけが改善策ではない>
雇用の非正規化は、日本社会の変化を言い表す代表的なワードの一つだ。戦後初期の頃までは自営業が多かったが、今では働く人の大半が雇用労働者だ。
雇用労働者は正規雇用者と非正規雇用者に分かれ、日本では後者が増えている。1992年の非正規雇用者(パート、アルバイト、嘱託、派遣社員)は1053万人だったが、四半世紀を経た2017年では2133万人に膨れ上がっている(総務省『就業構造基本調査』)。2倍以上の増加だ。
正規雇用と非正規雇用の比率は、1992年では「4:1」だったが、2017年では「3:2」に様変わりした。今日では、雇用労働者の4割が非正規雇用者ということになる。雇用の非正規化の数値的な表現だ。
不安定就労やワーキングプアが増えるなど、否定的に捉えられることが多いが、非正規も働き方の一つだ。ライト、柔軟でゆるい働き方ができるという面もある。非正規の形態で働いている人の思惑は様々だ。
2017年の『就業構造基本調査』では、非正規雇用者に対し、現在の就業形態を選んだ理由を尋ねている。<図1>は、5歳刻みの年齢層ごとの理由内訳を面グラフで表現したものだ。
ライフステージやジェンダーの違いが出ている。学生が多い若年層では、学業の合間の学費や小遣い稼ぎが大半だが、働き盛りになると男性では「正規の仕事がないから」という理由が増えてくる。女性では「育児・介護との両立」「家計補助」が幅を利かせている。
「専門技術を生かせる」という理由も結構ある。細切れの形で、専門知識や技術を提供している人たちだろう。何とか自分の専門を生かしたいと、正規雇用の枠が著しく少ない専門職にしがみついている人も多いとみられる(図書館司書や大学非常勤講師など)。これらの職業の非正規雇用率は非常に高い。
注目したいのは、正規の仕事がないという理由でやむを得ず非正規でいる人たちだ。いわゆる「不本意非正規」で、実数にすると男女合わせて268万2800人、京都府の人口よりも多い。