最新記事

記者殺害事件

【記者殺害】カショギの遺体の一部発見か 指はサウジ皇太子に献上された?──報道

Jamal Khashoggi's Body Parts Discovered In Saudi Consul General's Garden Well: Reports

2018年10月24日(水)13時03分
プリサ・ポール

カショギが姿を消したサウジの総領事館前に並んだトルコの捜査関係者(イスタンブール、10月17日) Osman Orsal-REUTERS

<サウジアラビアの反体制ジャーナリストがトルコのサウジ総領事館で死亡した事件で、カショギのバラバラ遺体の一部が、サウジ総領事館の井戸から発見されたようだ>

サウジアラビアの記者で「ワシントン・ポスト」にも寄稿していたジャマル・カショギがトルコのイスタンブールにあるサウジアラビア総領事館で殺害されたとされる事件で、カショギの切断された遺体の一部が、サウジ総領事館の庭の井戸で見つかったと、複数の報道機関が伝えた。

トルコ祖国党のドウ・ペリンチェク党首が明らかにしたところによれば、遺体はサウジ総領事館の庭にある井戸で発見された。

ペリンチェクはロシアの通信社「スプートニク」に対して、「イスタンブール治安当局の信頼できる筋から、カショギの遺体の一部がサウジ総領事公邸の庭にある井戸から発見されたと連絡があった」と話した。

また、消息筋が「スカイニュース」に語ったところによれば、遺体の一部から、カショギは「バラバラにされ」、顔は「原形をとどめていなかった」ことが判明したという。

遺体発見のニュースが伝えられた前日には、トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領がサウジ当局に対し、カショギの遺体の所在を明らかにするよう求めていた。「殺害されたと公式に認められた人物の遺体がいまだ見つかっていないのは、どういうわけだ?」とエルドアンは10月23日に語っている。

エルドアンはまた、カショギが殺害されたとされる事件をめぐる捜査の詳細も明らかにした。

実行犯はムハンマド指揮下の「タイガー部隊」?

エルドアンによれば、サウジ総領事館の外にある監視カメラのハードディスクが、殺害があったとされる時間の数時間前に抜き取られていたという。また、カショギが総領事館を訪れる予定時刻の直前、軍幹部を含む「諜報、安保、法医学」関連のサウジ国籍の職員15人が総領事館に入り、数時間後に立ち去ったのち、直ちに飛行機でサウジアラビアのリヤドに戻ったという。

エルドアンはさらに、館内で口論になり誤って殺されたとするサウジ側の説明は信用できないと述べ、サウジに対し、この「残忍」で「計画的」な殺人の詳細を明らかにするよう求めた。

一方でエルドアンは、カショギの死亡時の音声記録に言及しなかった。トルコの捜査当局によればこの音声記録は、カショギが拷問を受け殺害された事実を証明するものだという。さらに、カショギが死亡する前に指を切断されたことも示唆しているとされる。

殺害を実行したのは、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子の指揮下にあると言われる暗殺部隊「タイガー部隊」だと、「ミドル・イースト・アイ」は報じている。

報道によれば、暗殺部隊はリヤドへ戻ったあと、カショギの指を未来のサウジ国王に献呈したという。ある消息筋は「ミドル・イースト・アイ」に対して、「皇太子は日ごろから、自分を批判した記者全員の指を切断してやると言っている」と語る。

(翻訳:ガリレオ)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中