早くも期日前投票が始まった米中間選挙 激戦アリゾナが脅かす民主党「上院奪還」の夢
中道路線は功奏するか
シネマ候補は無党派の声を代弁すると自称し、勝利に必要な穏健派の票を集めようとしているが、左派進歩主義支持者からは慎重すぎるとの批判も聞こえてくる。
カバノー氏指名を巡る議論については、ぎりぎり最後になって指名承認に反対を表明しただけで、シネマ候補はほぼ沈黙を守った。米移民関税執行局については、民主党内でその廃止を求める声が上がる中で、その取組みを支持している。
今回の中間選挙において多くの民主党候補が支持している包括的医療政策「メディケイド・フォー・オール」について先週質問を受けた同候補は、「もっと現実的なソリューションを求めている」と答えた。
もっとも、こうしたどっちつかずのアプローチが引き寄せた支持もある。先週、フェニックス中心部で開催されたシネマ候補を応援するイベントに参加したスティーブ・ジェンセンさん(63)もその1人だ。
障害を抱える退役軍人で、長年共和党を支持してきたジェンセンさんだが、共和党の「恐怖政治」に反感を抱くようになり、マクサリー候補がますますトランプ大統領にすり寄るのが気に入らない、と語る。
「マクサリー候補への票は、ほとんどトランプ支持と同じように思える」とジェンセンさんは言う。
シネマ氏の立候補は、保守的なテキサス州における民主党ベト・オルーク下院議員の例と好対照をなす。共和党の現職テッド・クルーズ上院議員に挑戦するオルーク氏は、公然と左派進歩主義の立場をとっている。
「それでもなおリベラル」
選挙の勝敗という意味では、現状、オルーク氏よりシネマ氏のほうが勝利に近いように思われる。とはいえ、全国的な注目という点ではオルーク氏にはとうてい及ばない。
「長年アリゾナ州の選挙を見てきた中で、シネマ氏は民主党候補として最も巧みに戦っている」と、フェニックスで活動する民主党の戦略担当者チャド・キャンベル氏は賞賛する。
そのため資金力の豊富な保守派支持団体はシネマ氏を最大の標的と定め、同氏の躍進を阻み、マクサリー氏を応援するため、テレビ・ラジオ広告を大量に投下している。こうした宣伝が「シネマ氏のリードを削っている」と、キャンベル氏も認めている。