早くも期日前投票が始まった米中間選挙 激戦アリゾナが脅かす民主党「上院奪還」の夢
宣伝の多くには共通するテーマがある。シネマ候補は本性を隠しており、穏健派を装っているが一皮むけばリベラルだ、という批判だ。シネマ氏は「緑の党」のメンバーとして同州での政治キャリアをスタートしたが、2012年に下院議員に当選した際に、民主党の穏健派グループに参加した。
「シネマ候補は、右へ右へとシフトしようとしている」とアリゾナ州のジャン・ブルワー元州知事(共和党)は、先週フェニックスのラジオ局に語った。「それでもなお、彼女はリベラルだ」
空軍で軍用機パイロットの経験もあるマクサリー候補は、シネマ候補がピンクのチュチュを着て、イラク戦争に反対の声を上げている宣伝動画を複数アップロードしている。保守派団体「アリゾナを守ろう」が先週送付したダイレクトメール広告では、フェニックス上空にキノコ雲が描かれていた。
「マクサリー候補が追い詰められて、見苦しい行動に出ていることは明らかだ」。シネマ候補は先週、選挙イベントの後でそう語った。
共和党では、シネマ氏のイメージダウンを図る攻撃は効果があるとみており、これは選挙が終るまで続けられるだろう、と党関係者は予想する。
マクサリー陣営は強力な選挙応援者の影響力を頼みにするようになっている。かつて共和党候補として大統領選に出馬し、現在ユタ州から上院議員に立候補しているミット・ロムニー氏は12日、同陣営を応援するためアリゾナ州ギルバートの集会に姿を現した。トランプ大統領も19日、フェニックス郊外のメサで、応援イベントを開催する。
「われわれは上院の議席、そして上院での過半数を巡って、文字通りデッドヒートを繰り広げている」。マクサリー候補は聴衆に向かってそう語りかけ、シネマ氏は愛国心に欠けていると批判した。
この集会に参加していたアリゾナ州ファウンテンヒルズのティム・ブッシュネルさん(60)は、シネマ候補には投票できない、と断言する。「彼女の来歴はかなりラディカルな左派だ」
シネマ陣営では、この攻撃に耐えられると信じている。シネマ氏は共和党がまだ予備選を戦っていた序盤の段階で、選挙広告に資金を投じ、有権者に明確な印象を与えているためだ。シネマ候補は依然、選挙資金を募っており、第3・四半期には700万ドルを集めた。
シネマ氏が勝利を収めれば、彼女のような穏健派路線こそ、民主党が2020年の大統領選においてトランプ氏に勝利する最善の戦略だと主張することができるだろう。同候補が負ければ、彼女自身とともに、民主党が上院で過半数を奪回する希望も消えることになる。
(翻訳:エァクレーレン)
[フェニックス(アリゾナ州) 15日 ロイター]
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