最新記事

アメリカ政治

早くも期日前投票が始まった米中間選挙 激戦アリゾナが脅かす民主党「上院奪還」の夢

2018年10月22日(月)13時33分

10月15日、米中間選挙では激戦区アリゾナで上院議員のポストを巡り女性同士の対決となった。民主党のカイルステン・シネマ候補の選挙活動は高い評価を得ていたが、共和党のマーサ・マクサリー候補(写真)が急追している。写真は8月、共和党の予備選で勝利を収めたマクサリー候補(2018年 ロイター/Nicole Neri)

アリゾナ州の民主党上院議員候補カイルステン・シネマ氏が今年の大半を費やして展開してきた選挙活動は、米国で最も優れたものだという評価を得ている。だが、米中間選挙まで残り1カ月を切る中で、同候補が先頭でゴールできるか疑問が生じている。

期日前投票が同州で始まり一部の投票が進む中で、ライバル共和党のマーサ・マクサリー候補が急追しているとみられている。わずか数週間前には、上院の過半数奪還に必要な2議席以上を得る可能性を信じていた民主党にとって、これは歓迎できないニュースだ。

ブレット・カバノー氏の最高裁判事指名が6日承認されたことを巡る激しい議論を経て、国内情勢は変化してきたようだ。共和党はテネシー、テキサスなどの州で優位に立ち、フロリダやインディアナでも依然として踏みとどまっている。

そうなると、民主党の議席奪還チャンスが最も大きいのは、アリゾナ州と隣接するネバダ州ということになる。

民主党としては、23議席を積み増して下院の過半数を得る方が見込みは大きい。上下両院のどちらかでも民主党が過半数を奪回できれば、トランプ大統領の政策目標の多くが脅かされ、政権はこれまで以上に厳しく監視されることになろう。

引退する共和党のジェフ・フレーク上院議員の後釜を狙うシネマ下院議員にとって、これまでは形勢不利な情勢だった。アリゾナ州では長らく右派が優勢であり、ある意味では、トランプ大統領の分断的な政策が具体化された州となっている。

ここは、いわゆる「壁を作る」州だ。反移民を掲げる元保安官ジョー・アーパイオ氏の地元であり、現職のフレーク上院議員も、基本的にはトランプ氏に対する批判がたたって引退に追い込まれた。民主党は過去30年間、この州で上院の議席を獲得していない。

だがシネマ候補は選挙戦の序盤で優勢に立ち、選挙ウォッチャーを驚かせた。民主党内ではほぼ無競争で指名を受け、マクサリー共和党候補に対して着実に差をつけた。現在は下院議員で元空軍パイロットのマクサリー候補は、党予備選でアーパイオ氏を含む2人の挑戦者を下し、シネマ候補と女性同士の決戦に臨む。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中