新世代の独裁者が跋扈する「アラブの冬」がやって来た
The New Arab Winter
アメリカ在住でワシントン・ポスト紙のコラムニストを務め、ツイッターで100万人以上のフォロワーを持つカショギが行方不明になったことで、中東出身のジャーナリストやアナリスト、人権活動家らは怒りと恐怖に揺れている。
トランプやマイク・ポンペオ米国務長官がこの問題に懸念を表明したのは、カショギ失踪から1週間近くがたった10月8日のことだ。
一方、サウジ当局は殺害疑惑を否定し、陰謀説を唱え、真相究明を行うと口先だけの約束を繰り返している。トルコ側は事件当日の総領事館の監視カメラ映像が消去された事実や、襲撃犯を運んだとされるプライベートジェット機の往来などの状況証拠を複数提示している。これに対し、サウジ当局はカショギが総領事館を出たという明確な証拠を示せていない。
ロンドンに亡命したあるサウジ女性は、カショギの事件は「おまえたちがどこにいても、逃れることはできない」という母国からのメッセージだと語る。サウジアラビアの行為が許され、カショギの所在不明が放置されるのであれば、欧米にとって戦略的に有益である限り、国家の悪行が見逃される危険な世界に突入することになる。選択肢は私たちの目の前にある。
<本誌2018年10月23日号掲載>
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