【記者殺害疑惑】サウジの悪事?のおかげで歩み寄ったアメリカとトルコ
Erdogan Frees U.S. Pastor While Still Managing to Embarrass Trump
トランプがそれでもサウジアラビアを守ろうとすると、米議会は共和党も含めて激怒した。
カバノーを最も強力にかばった共和党のリンゼー・グラム上院議員までが怒り出し、民主党と足並みをそろえ、人権侵害を行った外国の当局者への制裁を定めたマグニツキー法の発動をトランプに求めた。
「もし彼(カショギ)がサウジ政府の指示の下で誘拐され殺害されたのが事実だとしたら、両国関係は大きく損なわれる」とグラムはFOXニュースに述べた。
トランプにとっては最も聞きたくない言葉だったろう。トランプはその前日、記者らに対し、たった1人の記者が失踪したぐらいで1100億ドルの武器売却契約を含む「金のたまご」である両国関係を犠牲にするわけにはいかないと言ったばかりだったからだ。「これはトルコで起こったことで、カショギはアメリカ国民ではない」とトランプは述べた。「せっかく大金が入ってくるのを止めたくない」
アメリカを巻き込む巧みな作戦
一部の外交官やアナリストからは、リーク作戦はサウジとアメリカの関係にくさびを打つためのエルドアンの企てだという見方もある。サウジとアメリカは足並みをそろえてトルコに反対した過去があり、両国の友好関係はトルコにとっては目の上のこぶのようなものだ。
「人権侵害のリークによってアメリカを巻き込み、自分たちの問題を解決しようとするトルコの様子は興味深い。トルコ一国でサウジと渡り合いたくないのだろう」と、ブッシュ(子)政権からオバマ政権にかけて国務次官を務めたニコラス・バーンズは言う。
国際人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのサラ・リア・ウィットソンもこう語る。「アメリカ政府内にも(サウジとの関係を損なわないため)カショギの失踪事件は未解決のままにしておきたいという人は多い。トルコのおかげで、アメリカは事件を見過ごすことができなくなった」